琴奨菊“琴桜の道”歩む…「32歳で綱」新婚旅行先送りで挑戦

[ 2016年1月31日 05:30 ]

ケーキに入刀する琴奨菊と祐未夫人

 大相撲の初場所で日本出身力士として10年ぶりに優勝した大関・琴奨菊(佐渡ケ嶽部屋)が32歳の誕生日を迎えた30日、都内のホテルで祐未夫人(29)と挙式・披露宴を行った。先代師匠の元横綱・琴桜(故人)がかつて開いた結婚式をならい、披露宴の冒頭に挙式を盛り込む形式で開催。新婚旅行はしばらく“お預け”にして次なる春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)で先代と同じ32歳での横綱昇進を狙うことを誓った。

 賜杯を抱いた初場所千秋楽から6日後。琴奨菊が“超過密日程”の中で無事に結婚式を迎えた。この日は午前11時半から「豊真将引退大相撲」に参加。自身の披露宴は午後5時からだったが、国技館で仕事を終えたのは午後4時すぎだった。

 大急ぎで車に乗ってホテルへ。千秋楽後から多忙を極め風邪もひき、披露宴前には「バタバタし過ぎて訳分からない…」と話していたが、いざ会場に到着すると紋付きはかま姿で時間通りに祐未夫人を伴って約630人の前に登場。結婚、優勝、誕生日という3つの喜びを同時に祝福される幸せに「自分は準備できなかったので先代おかみさん、おかみさん、奥さんが進めてくれたので優勝できた」と周囲に感謝した。

 ファッションデザイナー桂由美さんプロデュースによるドレス姿の新婦について大関は「ほれてまうやろー!」と絶叫。一方の祐未さんは夫が挙式前に優勝したことに関し「まさかこんなに素敵な展開になることは予想していなかった。喜びの中で慌ただしくも幸せな1週間だった」と笑顔で振り返った。

 結婚式は入門時から育ててもらった先代師匠と同じ形式を踏襲した。披露宴の冒頭。高砂の隣に設けられた祭壇に新婦と向かって宮司から祝詞を奏上され、大関から祐未さんには「ヴァンクリーフ&アーペル」の指輪を、祐未さんから大関には「カルティエ」の腕時計をそれぞれ交換した。出席者が見守る中での挙式について大関は「先代の親方もそうやったみたいです」と説明した。

 次なる春場所での綱獲りも先代と同じ道を歩む。先代は年6場所制で最スローの32歳1カ月で横綱昇進。もし来場所自身が綱獲りに成功すると32歳2カ月での最高位となるだけに「先代が32歳で上を目指したように自分もそういう気持ち」と宣言。新婚旅行は「ニューカレドニアとかモルディブに行きたい」と言いつつ、日程は「3月場所後か5月、7月か」としばらくお預けにする。2月4日から早くも稽古を再開。どんなに幸せな日を迎えても心の中では綱獲りロードは始まっている。 

 ▽第53代横綱・琴桜 1959年初場所に初土俵を踏み、63年春場所に新入幕。突き押しの名手として“猛牛”の異名を取り、幕内優勝5回。73年初場所後には年6場所制となった58年以降で最スローとなる32歳1カ月で横綱昇進したが、翌年名古屋場所前に引退。佐渡ケ嶽部屋師匠としては大関・琴風(現尾車親方)ら22人もの関取を育てた。2007年8月に66歳で他界。千葉県松戸市の部屋から徒歩10数分の墓所に眠る。現佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は娘婿。孫の琴鎌谷は今年初場所で序ノ口優勝を飾った。

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