稀勢の里 筋トレ効果!91キロ差巨漢撃破

[ 2009年5月18日 06:00 ]

山本山(右)を寄り切りで破った稀勢の里

 大相撲夏場所8日目は17日、両国国技館で行われ、平幕・稀勢の里が関取最重量258キロの山本山を真っ向勝負で寄り切り、1敗を守った。わずか5勝に終わった先場所後から肉体改造に着手。筋力トレーニングなどの成果が力強い相撲に表れており、好調のまま後半戦の上位との対決に臨む。横綱・白鵬、大関・日馬富士はともに勝ち、初日から8連勝で勝ち越し。稀勢の里と横綱・朝青龍、大関・魁皇の3人が1敗で追っている。

 167キロの稀勢の里が全身の力を振り絞り、258キロの山本山の巨体を土俵外へ運んだ。取組後は「そこまで重くはなかった」と話したが、普段から赤みがかった顔はさらに紅潮。館内を興奮させた熱戦に、引き揚げる花道では割れんばかりの声援を浴びた。
 初顔合わせの相手をもろはずで押し上げ、両上手を許しても構わずに前へ。土俵際を半周回りながら厳しく攻め立て、最後は相手の左上手を切って寄り切った。力強い相撲で、平幕ではただ1人、1敗をキープ。それでも「立ち合いで押し込まれた。もっと前に出ないと」と反省を口にした。
 これまでは低く踏み込んでも2歩目に腰が高くなる傾向があったが、今場所は重心が低い。以前に比べて安定した下半身を支えているのが、日課の筋力トレーニングだ。新関脇で5勝10敗に終わった春場所後から、稽古後に部屋の隣にあるトレーニング室へ向かっている。「上半身も下半身もやってます。効果?見えないところで出ていると思います。結果も出てるし」。師匠の鳴戸親方(元横綱・隆の里)も「練習量が増えている。先場所の悔しさが生きてる」と評価するほどだ。
 先場所は原因不明の下痢にも苦しんだだけに、体調管理にも気を使っている。国内でも新型インフルエンザの感染者が出る中、部屋の方針で薬を使ってのうがいや抗菌石けんでの手洗いを励行。鳴戸親方が「せきをする力士は料理場から外す」と言うほどの厳しい管理下で生活しており、今場所は体調に不安はない。
 優勝争いに絡む活躍に、武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は「この番付なら勝たないと。勝っていけば上と当たるんじゃないか」と後半戦の大暴れを期待した。身につけた力強さで、上位陣の壁にはね返された春場所のリベンジを狙う。

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2009年5月18日のニュース