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FW浅野拓磨が森保ジャパンのヒーローになる日 「優勝できると本気で思っている」

[ 2022年11月15日 05:33 ]

ミックスゾーンで話す浅野(撮影・西海健太郎)
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 「サッカーの神様は簡単には自分をいい方向に行かしてくれないな、と」。9月10日、日本代表FW浅野拓磨(28=ボーフム)はシャルケ戦で開始直後に右膝を負傷した。「このタイミングでか」――。W杯カタール大会まで約2カ月半。森保ジャパンの欧州遠征を直後に控えてのアクシデントだった。

 「でも、本当にすぐに切り替えた。もう自分がやれる準備をやるしかないなっていう風に心の底から感じた」。右膝内側側副じん帯断裂で全治約4~6週間。それでも浅野は前を向いた。11月1日の代表発表も泰然自若。「もう人事を尽くして天命を待つじゃないですけど、振り返ってもやれることはやってきた。あとは森保監督の判断に委ねるしかなかった」。選ばれるか、メンバーを外れるか。自身の予想は五分五分。「発言とかでアピールしかできなかったので。“いや、もう治しますよ”って」。そう言って笑った。

 右膝の状態はもう問題ないという。中断前の最後の試合でベンチを外れたものの、出場する準備はできていた。チームメートの調子が良く、復帰したばかりの浅野と入れ替えるという判断は下されなかっただけ。「監督の意向も納得はできた。じゃあ、僕はW杯に向けていい準備をしようと思った」。最後の最後まで自分に矢印を向けて時間を使えたのは、ある意味で不幸中の幸いだったかもしれない。

 大会に臨むにあたって、快速アタッカーは自分がヒーローになる姿しか想像できないという。1次リーグで対戦するのは優勝経験のあるドイツとスペイン、そして14年ブラジル大会で8強に入ったコスタリカ。強豪国を相手に得点を奪い、金星に導いたら「ヒーロー」の空想は現実になるに違いない。

 「もちろん毎試合ゴールを取ってチームの勝利に貢献するっていうのは決めていますし、やっぱりチームとしてもベスト8以上、優勝できると本気で思っているので、優勝目指してやるだけ。口だけじゃなく、心の底から俺はできるって思っている」

 ロシアのピッチに自分は立てない。4年半前、浅野は悔しさにまみれた。「前回のW杯、ロシアを離れた瞬間から僕はここ(カタール大会)しか見ていなかった」。確かにサッカーの神様は簡単にはいい方向には進ませてくれなかったかもしれない。だが、四苦八苦しながらも“世界の祭典”にたどり着いた。存分に見せてやればいい。あなたの試練があったからこそ自分は強くなったのだ、と。(古田土 恵介)

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2022年11月15日のニュース