12月に交通事故も…母との約束を守った“徳島で一番速いストライカー”

[ 2019年1月8日 10:30 ]

<高校サッカー 徳島市立・流通経大柏>後半16分、ゴールを決め喜ぶ徳島市立・岡(左)(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 一瞬、会場が静まりかえった。1月2日に行われた全国高校サッカー選手権2回戦の流通経大柏(千葉)―徳島市立戦。先制点を奪ったのはホームの大声援を受けた流通経大柏ではなかった。試合の均衡を破ったのは徳島市立のエース、FW岡健太(3年)だった。

 後半16分、後方からのロングボールをおさめると、「トップスピードに乗ったら、たぶん徳島で一番速い」という50メートル5秒9の快足でドリブル突破。「絶対にちぎったると思ってました!パスなんか全然考えてなかったです!」とDFを一人、二人と巧みにかわすと最後は無我夢中で右足を振り抜き、ネットに突き刺した。その後、チームは逆転負けを喫したものの、流通経大柏の本田監督も「良いチームだったし、良いゴールだった。ケガをしていると聞いていたけど、本当?と思うくらい」と舌を巻くほどだった。

 苦難を乗り越えて大舞台にたどり着いた。12月中旬、自転車で帰宅途中に自動車に追突され、太ももを打撲した。痛みがなかなか引かず、練習に合流できたのは試合前日の元旦。河野監督も「今年は岡らあってのチームだったから…」とこぼすなど、エース負傷の影響は大きかった。

 最愛の母のためにも諦めたくなかった。母・小百合さん(40)は女手一つで岡ら4兄弟を支えるため、昼は金物店で働き、夜もアルバイトに励んでいる。試合前夜には「絶対、点取るけん。見といてな」とLINEで連絡し、「頑張れ」と頼もしいエールを授かった。試合には痛み止めの座薬を入れて途中出場。体は悲鳴を上げていたが、スタンドで見守った母に約束のゴールをささげた。

 卒業後は地元を離れ、産業能率大に進学してサッカーを続ける。「将来はプロになってお母さんに親孝行がしたい。諦めんと、4年間頑張ってやるだけです」。夢にはまだ続きがある。孝行息子の物語はステージを変え、これからも続いていく。

続きを表示

「サッカーコラム」特集記事

「アジア杯」特集記事

2019年1月8日のニュース