楢崎引退決断の裏――ユニホームを自ら脱ぐことが許される者、脱がされる者

[ 2019年1月8日 16:00 ]

引退を発表した楢崎
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 【記者の目】日本代表での活躍はもちろん、クラブ史上初のリーグ優勝に導いた2010年のパフォーマンスなど、GK楢崎正剛(42)がキャリアの中で残した足跡は偉大だ。偉大すぎる。

 そんなレジェンドの終わり方が、こんな不完全燃焼な形であっていいのだろうか。担当を離れて8年が経っても、名古屋の情報は逐一入っていた。例えば昨年。楢崎が紅白戦にも入れず、満足なトレーニングができていない状況を聞いた時は胸が痛かった。それでも12月1日、楢崎と直接話した際には「現役続行の方に意識は傾いている」と話していた。このままでは終われない――“熱”を感じた。

 それを奪ったのが、クラブの強化部だった。

 実は、J2長崎への移籍が決まった元日本代表FW玉田圭司(38)だけではない。楢崎にもリーグ最終戦から3日経った昨年12月4日に同年シーズン限りでの契約満了が通告されていた。プライドが傷つけられたのは想像に難くない。

 通常、功労者に対してはシーズン終盤あたりにフロントが次に向けたシーズンへの意思を確認する。「プロの世界はユニホームを自ら脱ぐことが許される者、脱がされる者に二分される」と話したのはプロ野球の中日ドラゴンズで監督を務めた落合博満氏。楢崎は紛れもなく前者だったはずだ。

 数年前から楢崎が現役引退の仕方を考えている、という話は耳にしていた。綺麗にユニホームを脱ぐ。応援してくれたサポーターに感謝の気持ちを届ける。それらを奪う、あまりにもリスペクトを欠いた行為ではないだろうか。(06〜10年名古屋担当 飯間健)

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