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トルシエ氏 コートジボワール代表の監督に

[ 2010年3月9日 10:13 ]

岡田監督(左)とトルシエ氏

 サッカー元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(54=FC琉球総監督)が、6月のW杯南アフリカ大会に出場するコートジボワール代表の監督に就任することが8日、決定的となった。交渉は最終段階に入っており、一両日中にも正式発表される。日本代表は6月4日にスイスでコートジボワールとW杯開幕前最後の親善試合を行うことが決まっており、日本をよく知るトルシエ氏が岡田ジャパンの“最終チェック”に胸を貸すことになる。

 98年フランス大会で南ア、02年日韓大会で日本を率いたトルシエ氏が、8年ぶり3度目となるW杯本大会の指揮を執る。コートジボワールはアフリカ予選8勝4分けと無敗でW杯切符を獲得したが、今年1月のアフリカ選手権(アンゴラ)は準々決勝敗退。ボスニア・ヘルツェゴビナ人のハリホジッチ監督の解任論が起きた。同時期には日本代表の岡田武史監督も解任騒動に揺れていたが、コートジボワール協会は2月28日にハリホジッチ監督を解任。後任としてヒディンク現ロシア代表監督らの名が挙がる中、08年からJFL・FC琉球の総監督を務めるトルシエ氏に候補を絞り込み、同氏の自宅があるパリで交渉に入っていた。
 トルシエ氏は93年にコートジボワール代表監督に就任したが、協会幹部と衝突して退任した。しかし、ナイジェリアやブルキナファソなどアフリカ諸国を率いて結果を出しており、アジアに関する知識も豊富だ。W杯1次リーグG組でブラジルとポルトガルはともかく、北朝鮮から確実に勝ち点3を挙げたいコートジボワールにとってアジア対策はテーマの1つ。同氏も「もう一度W杯で指揮してみたい」と話しており、17年ぶりの監督復帰が決定的となった。監督に就任しても、FC琉球総監督にはとどまる。
 コートジボワールは5月28日にパラグアイと親善試合を行い、6月4日にはスイスで合宿中の日本代表と対戦する。岡田ジャパンにとってW杯前最後の実戦だが、日本に理解があるトルシエ氏が相手指揮官というのはプラス。同氏は関係者に「コートジボワールだけでなく、私は常に日本のことも大事にしている。6月4日の試合はベストメンバーで日本と対戦したい」と話しており、全力で胸を貸してくれれば最高の練習になる。昨年12月に「小笠原(鹿島)を使った方がいい」とベテラン起用を勧めるなど、岡田ジャパンの情報も常にチェックしているだけに、試合で感じた日本の課題と、本大会へ向けたアドバイスは貴重なものとなるはずだ。
 98年W杯後、岡田監督の後を受けて日本代表監督に就任したのがトルシエ氏。02年W杯直前には中村俊輔(横浜)を代表から外した因縁もある。日本と初めて対決する指揮官の、岡田ジャパン“最終チェック”が注目される。

 ◆フィリップ・トルシエ 1955年3月21日、フランス・パリ出身の54歳。現役時代はDFで、パリのレッドスターFCなどでプレー。83年から指導者に転じる。U―15フランス代表やレッドスターを率い、89年からコートジボワールのクラブの監督として手腕を発揮した。アフリカの名門クラブや各国代表の監督を経て、98年9月に日本代表監督に就任。U―20代表及びシドニー五輪代表監督も兼任した。昨年12月、フランスから国家功労勲章を贈られた。家族はドミニク夫人とモロッコ人の養女。06年にモロッコでイスラム教に改宗し、イスラム教の名前は「オマル」。

 ◇コートジボワール代表 ナイジェリア、カメルーンと並ぶ西アフリカの強豪で、06年ドイツ大会でW杯初出場。アルゼンチンに1―2、オランダに1―2と敗れて1次リーグ敗退も、セルビア・モンテネグロを3―2で破り1勝を挙げた。最新のFIFAランクは22位。ドログバ(チェルシー)やコロ・トゥーレ(マンチェスターC)、ヤヤ・トゥーレ(バルセロナ)のトゥーレ兄弟が有名。愛称は「エレファンツ(象)」。アフリカ選手権は92年に優勝している。

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2010年3月9日のニュース