×

78%が不要…アンリ“仏の手”後遺症

[ 2010年3月9日 06:00 ]

 フランス代表FWティエリ・アンリ(32)が、苦しい立場に追い込まれた。所属するバルセロナで定位置を失い、3日の親善試合スペイン戦では精彩を欠いて地元ファンのブーイングを浴びた。同代表歴代最多の51得点を挙げてきた男に何があったのか…。また、求心力低下が指摘されるレイモン・ドメネク監督(58)も強い批判にさらされるなど、前回W杯準優勝の強豪が岐路に立たされた。

 悩めるストライカーに対し、明確な拒否反応が突きつけられた。0―2で完敗した3日の親善試合スペイン戦を受け、地元紙レキップがインターネットでアンケートを実施。「アンリはフランスに欠かせない存在か?」の問いに「NON」(いいえ)という回答が78%に上った。
 走力が必要な左サイドながら運動量に乏しく、前半21分のスペイン先制点はアンリのパスミスから。自ら「体が重くリズムをつかめなかった」と話したように切れを欠き、調整不足は明らかだった。今季バルセロナでは22歳のFWペドロの台頭により出場機会が減少。年明け以降は著しく、最近の公式戦7試合では先発と途中出場がそれぞれ1回ずつしかない。アンリは「常に出場しないとスピードなどすべてが失われる」と嘆いた。
 バルサのグアルディオラ監督は原因を「最高のプレーですべて勝ち取った昨季の代償」と説明。公式戦40戦25得点で欧州CLなどシーズン3冠を支えた昨季の疲労に加え「昔と同じ野心が必要」とモチベーション不足も指摘する。98年W杯、00年欧州選手権を制したアンリにとってCL制覇はアーセナル時代からの悲願だ。達成感から燃え尽きた面も否定できない。
 昨年11月のW杯欧州予選プレーオフ・アイルランド戦第2戦では“神の手”アシストで非難を浴びた。08年は国内で最も人気があるスポーツ選手に選ばれたが、人気も急降下。スペイン戦では地元ファンのブーイングと口笛にさらされた。「いつものこと。彼らはいつまでも98年W杯優勝チームと比べたがる」と漏らしたが“反対勢力”はピッチ内にもいる。新たなエース格となっている右サイドのリベリは所属するバイエルンMと同じ左サイドを希望。不振が続けばクラブに続いて代表チームでの先発落ちもあり得る状況だ。
 フランス代表で歴代最多の51得点を記録したエース。最後に観衆を沸かせたのが“神の手”ではあまりにも悲し過ぎる。

続きを表示

2010年3月9日のニュース