【王将戦】藤井聡太王将が3連勝 タイトル防衛王手 自身2度目のタイトル戦2桁連勝も「反省の残る対局」

[ 2024年1月29日 05:00 ]

第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局第2日 ( 2024年1月28日    島根県大田市・国民宿舎さんべ荘 )

熟考する藤井王将
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 藤井聡太王将(21)=8冠=が菅井竜也八段(31)を迎え撃つ第73期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は28日、島根県大田市「さんべ荘」で第3局2日目が指し継がれ、午後4時41分、藤井が94手で勝利した。3勝0敗として3連覇へあと1勝。自身2度目のタイトル戦2桁連勝を果たし、大山康晴15世名人を抜く単独1位、タイトル戦20連覇へ王手をかけた。第4局は2月7、8日、東京都立川市「オーベルジュ ときと」で指される。

 3連覇へ躍進した藤井が終局後、語ったのは反省だった。昼食休憩前、菅井の55手目▲5六角に長考に沈んだ。藤井陣の両翼へにらみを利かす角打ちが予想外。「勝負どころかなと思います」。休憩へ向かうため、対局場から姿を現したその表情は硬かった。

 珍しい失着だった。終局後「(8七の)と金を払われる順をうっかりしていた。まずくした」と告白した。休憩前後を挟む51分で△7五歩としたが、△8六との方が良かったという。自陣から4手を費やしてと金に昇格させたのに、対価なく失った。「いくつか読みの甘いところがあった。反省の残る対局だった」。開幕3連勝の高揚感はない。優勢を意識したのは74手目△6三同竜(第1図)まで進んでからだった。

 それでも逆転までは許さないのが8冠の底力だろう。第3局の立会人は、前期第5局でも務めた福崎文吾九段。羽生善治九段が通算100期を目指して挑戦した前期。2勝2敗で迎えたさんべ荘対局で、藤井が羽生の得意戦法、後手横歩取りを打ち破って連覇へ王手をかけ、続く第6局での後手番からのブレークへつなげた。今回も藤井が制して3連覇へ王手。「オーラが菅井さんを惑わせた」と福崎は指摘した。

 藤井が歩を垂らした64手目△5六歩。と金にできれば菅井陣の中央へ攻めの拠点を築くことができる。菅井の応手としては駒台から角を放っての攻め合いがあったが、実際は▲5三歩成。攻めの拠点を放棄して二歩を回避し、と金をつくらせない安全策▲5八歩が象徴的だった。

 「菅井さんは“耐え難きを耐え”。藤井さんは、一流棋士の脳波を狂わすオーラがあります」と福崎。8冠のブランド力が指し手に宿る。昨秋、永瀬拓矢王座から最後の1冠を奪い史上初の8冠独占を果たした王座戦も藤井の逆転劇が相次いだ。

 その王座戦以来のタイトル戦連勝を自身2度目の2桁へ伸ばした。さらに菅井が繰り出した16局目で初の戦型、向かい飛車を破り、対戦成績を12勝4敗(4千日手)へ伸ばした。そして1966年の大山と並ぶタイトル戦19連覇の更新へ58年ぶりに王手をかけた。
 勝って改善を求める姿に、死角は見当たらない。

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