“掛川対局”立会・久保九段 今局ポイントは「つかみどころのなさ」 一手の過ちで急速に決着が訪れる展開

[ 2023年1月9日 05:11 ]

第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第1局第1日 ( 2023年1月8日    静岡県掛川市 掛川城二の丸茶室 )

ホースをウナギに見立ててポーズをとる立会人の久保利明九段(撮影・河野 光希)
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 世紀の対決がついに開幕した第1局の掛川対局。立会人を務めた久保利明九段(47)は、過去4度王将位に君臨。大きな盛り上がりを見せる掛川の地で「自分が王将の時に比べて、会場に来るファンの方の人数が違いすぎます!」と驚いた。

 周囲の熱気と反し、勝負を間近で見た久保は「両対局者ともに普段の対局と変わらず、いつも通りです」と話す。この大一番で「一手損角換わり」を選択した羽生について「後手番ならこの戦法を指そうと決めていたのでしょう。序盤から工夫を凝らし、38手目[後]3五銀以降、積極的に良くしようと動いていたのが印象的」と分析。藤井については「どう受けるかと思っていたが、43手目の[先]5八銀が手堅い。相手の攻めを見切った上で、自陣を引き締めています」と指摘した。

 振り飛車党で軽快な指し回しを得意とし、「さばきのアーティスト」の異名を持つ久保。王将だった時を振り返り「一番過酷だった」と話したのは、2017年開催の第66期で行われた本棋戦恒例の“勝者の記念撮影”。当時王将の郷田真隆九段(51)からタイトルを奪取した第6局から一夜明けた撮影で、対戦相手はうなぎだった。

 「本来はうなぎをつかんでポーズを決めるよう言われていたのですが、つるつるしていて全然つかめず…何度もNGを出して、カメラマンさんも諦めてました(笑い)」

 つかめなかったうなぎになぞられ、今局のポイントは「つかみどころのなさ」。ジリジリとしたにらみ合いが続いているが、一手の過ちで急速に決着が訪れる展開。「この後はもう少し激しくなるか、それとも落ち着くのか…封じ手以降を見ないと先が読めません」と静かに対局を見守った。(小田切 葉月)

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