【プロ野球キャンプの記者仕事 12日目】西武キャンプは監督もトンボをかける

[ 2023年2月12日 08:00 ]

トンボで足場をならす西武監督時代の辻氏
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 【プロ野球キャンプの記者仕事 12日目】投手がブルペンに入っても受ける捕手がいない。打撃投手が準備しても肝心の打者が遅れている。球団によってはそんなギクシャクした光景を目にする。キャンプ地は広い。移動に時間はかかるし、連絡ミスも起きる。

 キャンプ練習では選手よりスタッフの手際が大事になる。ティー打撃で球を上げる人、ボールを集めるアルバイト。どの練習場に何人必要か。的確に配置する手際のよさは西武が抜けている。サブグラウンドでノックを受けていた選手が、気づくとメーン球場でフリー打撃の準備をしている。時間の使い方に一切の無駄がない。

 その秘密の一端は監督の動きにも見えた。監督時代の辻発彦氏が選手の足場をトンボでならしている。隣ではコーチだった松井稼頭央氏が同じ動きをする。他球団でも監督が自らトンボをかけ球拾いをするが、西武の場合は円滑な練習のためには監督もひとつのピースになる。

 スタッフまで生え抜きが多い球団だ。あらゆる場面で先輩から引き継がれる伝統があるのだろう。80年代の黄金期から脈打つチームの遺伝子が、システマチックなキャンプをつくっている。(K)

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2023年2月12日のニュース