23年ドラフトは豊作の予感 「四天王」筆頭に好素材の揃う高校生の上位候補を一挙紹介

[ 2022年12月27日 05:45 ]

大阪桐蔭・前田
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 来年2023年のドラフト戦線は高校生が豊作だ。1年時から全国に名をはせてきた大阪桐蔭・前田悠伍、広陵・真鍋慧、花巻東・佐々木麟太郎、九州国際大付・佐倉(人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗の「四天王」を筆頭に、享栄・東松快征、滝川二・坂井陽翔ら逸材がズラリ。大学生、社会人にも好素材がそろい、例年にも増してハイレベルな競争が繰り広げられそうだ。 (取材=北野 将市、須田 麻祐子)

 <前田悠吾・大阪桐蔭>

 23年ドラフト戦線の主役は、前田をおいて他にいない。2年秋の時点で「1位は確実」との声も上がる中、主将としてもチームの中心を担う最速148キロ左腕。背伸びをすることも、自らを過小評価をすることもなく、現在地からの進化をもくろむ。

 「ここで満足していたらダメ。春の選抜でもう一度、日本一を獲れるように、レベルアップしていかないといけない」

 2年夏の甲子園大会準々決勝・下関国際(山口)戦での敗戦が前田にさらなる進化を促した。「あの経験があったからこそ、それが少しずつ生きている」と話すように、マウンドでの心情の変化を内に秘められるようになり、冷静さと制球力に磨きがかかった。現に中日・山本将道スカウトも「球の出し入れができるようになった」と成長を評価。11月の明治神宮大会では2年連続で“優勝投手”となり、まず1冠。松尾汐恩(DeNA1位)らを擁してもかなわなかった98年横浜以来となる高校4冠を来年こそ達成してみせる。

 大阪桐蔭出身の左腕が1位指名されれば、今中慎二(中日)、辻内崇伸(巨人)に続く3人目となる。高校ラストイヤーに語り継がれる伝説を残し、プロへと羽ばたく。

 <東松快征・享栄>

  大阪桐蔭・前田が“柔”なら、東松快征は“剛”と言える。世代最速152キロの直球は速くて重い。前田と並ぶ来秋ドラフト候補の筆頭格。勝負の最終学年へ、どデカい目標をブチ上げた。

 「史上最多の競合数で1位を目指します。可能性はゼロに近いかもしれませんが、目標を大きくすればモチベーションになる」
 史上最多は89年野茂英雄、90年小池秀郎の8球団。有言実行のため2年秋の愛知大会3回戦で東邦に敗戦後、肉体改造に着手した。

 まずは増量。夕食ではラーメンどんぶり山盛りの白米に加え、数人前分の焼き肉をフライパンごと食べることを日課にした。結果、わずか3カ月で体重は82キロから91キロに増えた。そして筋力アップ。ウエートリフティング競技歴20年超の父・宏典さん(45)の指導のもと自宅2階の専用ルームでトレーニングに励み、直球はさらに威力が増した。

 09年夏に中京大中京を日本一へ導き18年8月から指揮を執る大藤敏行監督からも「主将を任せたことでチームのことを考えられるようになった」と精神的成長を認められるようになった。「自分のことも大事ですが、大藤先生を2度目の日本一監督にしたい」と東松。ライバルと公言する前田に負けない輝きを放つ。

 <真鍋慧・広陵>

  「打」の筆頭格は真鍋慧だ。「高校生四天王」の一角を占める逸材。2年秋の明治神宮大会でも2本塁打を放ち、存在感を示した。特に高校通算49号となった2本目は右翼席中段への特大弾と持ち味の長打力を誇示したが、2年連続で準優勝に終わった。“広陵のボンズ”は高校ラストイヤーに向け「今のままでは勝てない。チャンスで打つこととミスをなくすこと。甲子園で絶対にリベンジしたい」と意気込む。

 華やかさでは花巻東・佐々木麟に譲るかもしれないが、西武・潮崎哲也編成ディレクターは「きれいにさばける」とバットコントロールを評価。大阪桐蔭・前田からは通算3打数2安打。来年こそライバルを打ち砕いて日本一に立ち、ドラフト戦線上位をうかがう。

 <坂井陽翔・滝川二>

  右腕の目玉は坂井だ。1メートル86の長身から繰り出す直球は最速149キロを誇る。高校入学後、本格的に投手に挑戦して才能が開花した。右腕の目標も「ドラフト1位」。前田、東松の“左腕ツートップ”に強烈な対抗心を隠さない。

 「あの2人をどうやって崩せるか。課題は自分の方が、いっぱいある。でも“ドラ1”にはこだわりたい」

 15年夏を最後に遠ざかる甲子園に出場できれば、目標はグッと近づくはず。そのためには2年続けて秋季大会で苦杯をなめさせられた報徳学園の打倒が必須。「甲子園は必ず通りたい道。最後の夏までには、完璧に仕上げます」。目標に掲げる最速155キロ到達と、課題とするメンタル面強化で、夢をたぐり寄せる。

 <中山勝暁・高田>

 三重県内屈指の進学実績を誇る高田の6年制コースに在籍する中山勝暁が実力の片りんを見せたのは、2年夏の三重大会1回戦だった。23年春の選抜21世紀枠の東海地区候補校に選ばれた木本相手に5回まで最速146キロを計測し無安打投球。右手中指の爪が割れて6回1失点で降板し、チームも敗れたが、その名を上げた。

 「夏にはこのチームで甲子園に行きたい。胸を張って言えるよう取り組んでいきます」

 2年秋は爪の回復が遅れて公式戦登板なしも、10月末以降の実戦登板では享栄・東松と投げ合って145キロを計測するなど23年へ向け順調。医学部進学も狙えるほど成績優秀だが、プロ入りも含めて「全て可能性の一つ」と文武いずれも手を抜くことなく、可能性を探っていく。巨人、広島なども視察済みの秀才右腕。ドラフト戦線をにぎわせるか。

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