吉田正 レッドソックスと交渉解禁即合意  異例のスピード決着の裏に70歳の敏腕代理人

[ 2022年12月9日 05:00 ]

吉田の代理人ボラス氏(撮影・杉浦大介通信員)
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 【記者の目】オリックスからポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた吉田正尚外野手(29)が交渉解禁日にレッドソックスと合意した。異例のスピード決着だが、「よーいドン」から数時間でまとまったわけではない。敏腕代理人として知られるスコット・ボラス氏の入念な下準備とリサーチがあったことは想像に難くない。

 以前のポスティングシステムは最高入札球団に独占交渉権が与えられ、そこから30日間の交渉期間がスタート。そのため06年オフの松坂大輔のように期限ギリギリまで交渉を続けるケースも多かった。しかし、現行制度は複数球団と交渉することができ、日本球団への譲渡金支払い以外は、実質FAと同じだ。ボラス氏は水面下で吉田正がフィットする球団と市場価値を探り、米国時間6日に契約可能選手として30球団に通知された時点で、ある程度、レ軍にターゲットを絞り、感触を得ていたのだろう。

 吉田正は打撃に比べて守備の評価は、1年前にカブスに移籍した鈴木誠也ほど高くなく、当初、米メディアでは相場は年平均700万ドル(約9億5900万円)とみられていた。しかし、ボラス氏が勝ち取った契約は約2・5倍の年平均1800万ドル(約24億6600万円)。左翼が狭いフェンウェイ・パークは守備の負担が減るだけに、同氏も「攻守両面で彼にとってうまくいく球場」と語った。最も吉田が能力を発揮できる球団がレ軍だった。

 交渉解禁後に10球団以上から面談の申し込みがあったが、全て断ったという。レ軍以上のオファーはないと判断したのだろう。70歳になったボラス氏だが、今オフもFAの有力選手を多数抱えており、球団とのパイプも強い。敏腕代理人の健在ぶりを証明する吉田の大型契約だった。(甘利 陽一) 

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2022年12月9日のニュース