関本賢太郎氏 阪神・岡田新監督が目指すのは“相手に攻めさせながらほころびを突く”守りの野球

[ 2022年10月19日 08:00 ]

06年秋季キャンプ、関本(左)の前で守備の見本を見せる岡田監督(撮影・椎名航)
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 18年ぶりのV奪還を目指す第2次「岡田阪神」。前回の監督時には選手としてプレーし、05年の優勝にも貢献した本紙評論家・関本賢太郎氏(44)は「守備力強化」に重点を置くと分析した。取れるアウトを確実に取る、というのが新指揮官の考え。2軍時代から指導を受けてきた自身の体験を踏まえ、来季の戦いに期待を寄せた。

 復帰した岡田監督に求められるのは、守備力の強化にあるのは間違いない。今季も86失策で5年連続のリーグワーストを記録。ヤクルトとのCSファイナル第3戦でもマルテの二塁悪送球、浜地の一塁悪送球で逆転を許したのは記憶に新しい。

 岡田監督の野球は攻撃型ではなく、守りの野球だ。しっかりとディフェンスを固め、相手に攻めさせながら、ほころびが出たところを突いていくのがパターン。こちらから仕掛けるのではなく、相手を先に動かせておいて、動いてくると読んだ上で対応する。じっくりと自分たちの土俵に引き込んでいくのを得意としている。当然、守りを重視していくはずだ。

 前回の監督時代に直接聞いた言葉がある。「好プレーなんかしてくれんでいい。投手がアウトにしたと思っている打球を、しっかりアウトにしてくれたらいい」。繰り返しこのことは言われた。超ファインプレー、局面を変えるビッグプレーは期待していない。それぞれの守備範囲の中で確実にアウトを取る。それが守備に対する基本的な岡田監督の考えだ。今回も同じことを選手に伝えるはずだ。少なくともセンターラインについてはバットよりも守備重視で固めていくと思っている。

 2軍監督時代には「ゲッツー打ってこい。ゲッツーでええんや」ということも言われた。相手バッテリーは併殺を打たせようと配球を組み立てる。そこで、打者が「併殺には倒れたくない。併殺打を打たないようにしよう」と思うと、本来の打撃とはほど遠いもので終わってしまう。どんな球で併殺を狙ってくるのかを考え、それをヒットすることに集中して、結果が併殺なら構わないというのが岡田監督の発想だった。

 守備でも打撃でも言われることはシンプル。難しいことは一切言わない。選手は言われたことに忠実にしていたら勝てる。そういう監督だ。佐藤輝にも「ワンバウンドに手が出るんやったら、ワンバウンドを打つ練習をしたらいい」なんてことを言うんじゃないかと思っている。

 ただ、前回は2軍監督、1軍コーチを経て監督になった。その間に選手も監督の考えを理解した。今回は15年ぶりの阪神復帰で、選手との距離がある。何を監督がしたいのか、何を求めているのか。コーチがうまく伝えて、クッションになれるかがポイントだと思う。それができれば、殻を破り切れていない選手の殻を破らせ、勝利に導ける流れはつくれるはずだ。(スポニチ本紙評論家)

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2022年10月19日のニュース