探せ未来の村上!大化け期待の“練習の虫”3選手紹介

[ 2022年10月19日 05:30 ]

左から日本航空石川・内藤、浦和麗明・吉川、亜大・田中
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 20日に迫ったドラフト会議。3回にわたって掲載するドラフト会議直前特集の第2弾は、「第2の村上を探せ」だ。今季日本選手新記録となるシーズン56本塁打を放ったヤクルト・村上宗隆内野手(22)は、17年ドラフトでは外れ1位指名。7球団競合の日本ハム・清宮幸太郎内野手(23)や2球団競合の広島・中村奨成捕手(23)に人気が集まったが、村上は当時から高く評価された豊富な練習量などで、世代を代表する選手に上り詰めた。村上のように「努力する才能」を持ったドラフト候補選手を紹介する。

 17年のドラフト会議を振り返り、ある球団のスカウトがこう語った。「正直、評価は清宮以上だったし、体も心の面でも村上には強さがあった。ケガもしないし、桁外れに練習をする選手だった」。アマ時代の実績とは別の「伸びしろ」を持った選手を発掘するのもドラフト会議の醍醐味(だいごみ)。今年のドラフト候補にも「練習する才能」を持った選手がたくさんいる。

 1人目は、日本航空石川の大型内野手・内藤鵬(ほう=18)だ。1メートル80、100キロと恵まれた体格で、高校通算53本塁打を誇る将来の大砲候補。スイングスピードが最大の武器で高校生の平均が120キロといわれる中、プロも顔負けの161キロを叩き出す。今夏は石川大会4強で敗れたが、巨人、ヤンキースで活躍した松井秀喜氏の持つ石川県内公式戦通算最多にあと2本と迫る10本塁打をマークした。この力強いスイングは練習量に裏打ちされている。この冬も「納得いくまで」と回数を決めずに振り込み、レベルアップを図った。まだ粗削りな部分はあるが、中村隆監督は「自分に足りないものを努力する姿勢はしっかり持っている選手」と評価する。中日・立浪監督も「近い将来凄くなる可能性を秘めている」と注目する逸材の一人だ。

 2人目は、男女共学化から5年目を迎えた浦和麗明(埼玉)の最速142キロ左腕・吉川悠斗投手(17)。猛練習を続けられる体の強さと、成長への「最適解」を探求する頭脳を持つ。全12球団のスカウトが視察した「ダイヤの原石」。今夏の埼玉大会2回戦の秩父農工科戦では、9連続三振を含む1試合20奪三振をマークした。「偏差値の高い大学を狙えると思った」と勉強に重きをおいて浦和麗明に進学。中学時代は目立った選手ではなかったが、急成長の要因は猛練習にあった。理想のフォームや体の使い方の習得を目指すネットスローを1時間以上続け、佐藤隼人監督に止められることもあった。一方で、吉川は「練習量」や「やりきった感」に執着することはない。佐藤監督は「自分の中で問題が解決したらパッとやめる。逆に納得しないと延々やり続ける。プロ向きだと思う」と語った。プロ野球選手誕生なら同校初になる。

 3人目は、亜大の韋駄天(いだてん)・田中幹也内野手(21)。1メートル66と小柄だが50メートル5秒9を誇り、今春リーグ戦では1試合6盗塁のリーグ最多タイ記録をマーク。周囲からは「忍者」とも称される俊足を生かした広い守備範囲も魅力だ。昨夏、国指定の難病「潰瘍性大腸炎」を発症し、約3カ月の入院を経験。体重が11キロも減るなどしたが、退院後はすぐに寮に戻り練習を再開したという、ど根性男。2月下旬に新型コロナの影響で寮が閉鎖されたが際も「自分はプロに行きたい。練習をさせてください」と生田勉監督に直訴。一人、グラウンドで練習を続けた。試合では一塁までの全力疾走を欠かさず、凡打しても右翼ファウルゾーンまで走り抜ける。ある球団のスカウトも「あの姿勢は素晴らしい」と評価している。

 ドラフト会議はプロ生活のスタートではあるが、引退というゴールをどう迎えるかが何よりも大切。人一倍の練習が生み出すものは、村上が示してくれている。

 ◇内藤 鵬(ないとう・ほう)2004年(平16)10月5日生まれ、名古屋市出身の18歳。浦里小5年から六田ファイターズで野球を始め、千鳥丘中学では東山クラブで全国準優勝を2度経験。日本航空石川では1年秋から背番号5でベンチ入り。憧れの選手は巨人・中田。1メートル80、100キロ。右投げ右打ち。

 ◇吉川 悠斗(よしかわ・ゆうと)2005年(平17)3月14日生まれ、埼玉県吉川市出身の17歳。幼稚園年中から吉川グリーンズで野球を始める。吉川市立中央中では吉川美南ボーイズに所属。浦和麗明では1年秋からベンチ入りし、甲子園出場はなし。1メートル85、80キロ。左投げ左打ち。

 ◇田中 幹也(たなか・みきや)2000年(平12)11月28日生まれ、神奈川県出身の21歳。小2で野球を始め、中学時代は相模原リトルシニアに所属。東海大菅生(東京)では2年夏に「1番・遊撃」で甲子園に出場し4強入り。亜大では1年春からリーグ戦に出場し、同年の大学日本代表に選出された。1メートル66、64キロ。右投げ右打ち。

 ▽17年ドラフト会議 10月26日に行われ、早実・清宮幸太郎を高卒野手歴代最多タイの7球団競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した。広陵・中村奨成、JR東日本・田嶋大樹はそれぞれ2球団が競合し、中村は広島、田嶋はオリックスが獲得。外れ1位でも九州学院・村上宗隆、履正社・安田尚憲が3球団競合となった。清宮、安田の交渉権を逃したソフトバンクは、仙台大・馬場皐輔も重複。馬場は阪神が引き当て、工藤監督は抽選3連敗。また単独指名はDeNAの立命大・東克樹のみ。他にJX―ENEOS・塩見泰隆(ヤクルト4位)、八重山商工・平良海馬(西武4位)、東農大北海道オホーツク・周東佑京(ソフトバンク育成2位)ら育成32人を含む計114人が指名された。

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