菅野 乱れぬ制球 風のマリンでは今季12球団初無四球完封の技術

[ 2018年6月16日 08:00 ]

交流戦   巨人5―0ロッテ ( 2018年6月15日    ZOZOマリン )

<ロ・巨>3回、陽の2ランにベンチ前で笑顔の菅野(撮影・吉田 剛)
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 揺るがないエースだ。巨人・菅野智之投手(28)が15日のロッテ戦で、両リーグ単独トップとなる今季3度目の完封で7勝目を挙げた。6安打で9奪三振。過去3戦3敗だったロッテ戦の初白星で他11球団からの勝利を達成した。無四球で投げきった126球。チームは過去3年間、勝ち越せていない交流戦の勝率を5割に戻し、セ・リーグ2位に浮上した。

 常時、風速約5メートルの風が吹きつけた。菅野は球も気持ちもぶれることはなかった。9回2死一塁。4番・角中に対してフルカウント。最後はこの日最速にあと1キロと迫る153キロ直球で一ゴロに仕留めた。

 「無駄な四球を出すと失点にもつながる。そこ(無四球)に一番のこだわりがある」。今季のZOZOマリンでは12球団初の無四球完封。セ・リーグに所属する菅野が成し遂げたことが、並外れた技術の高さを証明する。

 唯一のピンチは5―0の4回。無死一、三塁でクリーンアップを迎え「ゼロに抑えないと最後まで行かせてもらえない」とギアを上げた。3番・中村を空振り三振。角中は遊飛。ともにスライダーだった。最後は清田をフォークで空振り三振。風を切り裂く直球だけでなく、変化球の精度も乱れなかった。

 風も、距離をもしのぐ独自の調整をする。5月以降はブルペンに入らず「僕の中で大事な大事な練習」と言う約80メートルの遠投をする。マウンドから本塁の距離では分からないことが露骨に現れるという菅野の持論がある。

 「スライダーの回転が弱いと、18・44メートルで球筋に現れなくても、距離が広がればその回転通りの球筋になる」。キャッチボールの距離を延ばしていくが胸元に寸分の狂いなく投げることは変わらない。その技術を風の強いマウンドで応用した。

 ロッテからは初白星で巨人を除く11球団からの勝利を達成。「自分のボールを投げられれば抑えられる」と言い、高橋監督も「(4回の)ピンチを切り抜け、終始いいペースで試合を運べた」と称賛した。エースに導かれたチームはZOZOマリンでの連敗を8で止めた。

 早くも今季5度目の完投。「オールスターまでに(最低)あと一つ完投して、6にしておきたい。そうすれば今季10完投に届く」。昨季、沢村賞を受賞しながらもクリアできなかった基準の一つだ。エースの目はぶれることなく上を見ている。 (岡村 幸治)

 《巨人では12年内海以来2人目》菅野(巨)がロッテから初勝利。今季はオリックスからも初白星をマークしておりパ・リーグ全球団と巨人を除くセ5球団全てから白星を挙げた。巨人の生え抜き投手では12年5月19日のソフトバンク戦で11球団勝利を達成した内海以来6年ぶり2人目となった。

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