不振でも貫く信念…山川の豪快フルスイングを生んだ西武の方法論

[ 2018年6月2日 12:35 ]

29日の広島戦の5回2死、左越えへソロ本塁打を放つ西武・山川
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 月間MVPに輝いた3、4月が打率・337、11本塁打、33打点。一転して5月は打率・221、3本塁打、13打点と苦しんだ。それでもどんなに不振でも、己の信念は絶対に崩そうとしない。西武・山川穂高。「もし自分のスタイルを変えて、それで結果が出なかったら悔いが残りますから」。振って振って、振りまくる。無骨と言ってもいいバッティングには、野球の原点のような魅力があふれている。

 基本的には、全ての打席でホームランを狙う。マン振り、命。この山川のようなフルスイング、実際に誰でもできるわけではない。ただ思い切り振るだけなら、プロの選手でなくても可能だ。しかし、その結果が空振りでは意味がない。強く、思い切り振った上で、なおかつボールを捉えて前に飛ばす。これが難しい。

 各チームの試合前のフリー打撃などを見ていると、西武の選手は全体的にスイング、打球ともに力強い。入団し、ファームでの若手の頃から「強く振る」という土壌がある。パワー系が多いとされるパ・リーグ各球団の投手の力のあるボールに対抗するには、強いスイングが必要不可欠。そんなスイングを徹底して体に染み込ませてから、次の段階としてボールを捉えるための作業に移る。決して簡単ではないこの方法論の中で生き残ってきたのが山川であり、超強力打線を形成する西武のレギュラー陣だ。

 パ・リーグの打撃コーチに聞くと、一方のセ・リーグは細かいコントロール中心の投手が多いとされ、打者はまずボールをミートすることから入る傾向にあるという。パには指名打者(DH)制もあり、投手が打線に入らない。その差も野球の違いとなって表れる。現在行われている交流戦では、そんな両リーグの違いを見ても楽しめる。

 左のソフトバンク・柳田と右の山川。豪快過ぎるフルスイングはリーグでも双璧と言っていい。普段、パ・リーグの野球を観る機会があまりないというファンもいると思う。球場でなくても、テレビの前でもいい。この2人の気持ちがスカッとするような「マン振り」、必見だ。(鈴木 勝巳)

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2018年6月2日のニュース