嘉手納 聖地1勝 7回12人攻撃でイッキ8点逆転!16強一番乗り

[ 2016年8月12日 05:30 ]

<前橋育英・嘉手納>7回無死満塁、知花の2点適時打で逆転のホームインの嘉手納・仲井間

第98回全国高校野球選手権第5日・2回戦 嘉手納10―3前橋育英

(8月11日 甲子園)
 1回戦2試合と2回戦1試合が行われた。2回戦の第3試合では、嘉手納(沖縄)が13年の優勝校・前橋育英(群馬)を10―3で下し、初出場初勝利。16強に一番乗りした。2点を追う7回に打者12人の猛攻で8点を奪うなど19安打を浴びせた。日南学園(宮崎)は春夏通じて初出場の八王子学園八王子(西東京)に7―1で快勝。富山第一は中越(新潟)にサヨナラ勝ちし、それぞれ2回戦に進出した。昨夏2校が4強入りした東京勢はいずれも初戦で敗れた。

 一塁側アルプス席でチャンステーマ「ハイサイおじさん」の軽快なリズムに合わせて応援団が踊る、また踊る。2点を追う7回だった。3本の内野安打で無死満塁とし、押し出し四球で1点差。続く4番・知花の2点適時打で逆転に成功すると、もう止まらない。5連打を含む9安打を集中させて一挙8点を奪った。

 「みんな小学校から顔見知り仲間。一人が打つと“ボンボン”ってなるんです」。知花はそう言った。選手のほとんどが地元の嘉手納、読谷、古堅と校区が隣り合う3中学の出身。チームワークの良さは折り紙付きだが、その打撃力にも確固たる裏付けがある。

 13年から就任した大蔵宗元監督は「1対0より10対0で勝つ野球」を打ち出し、打撃マシンを2台から4台にした。「常にフルスイング」がチームの基本方針。それができない選手はベンチにすら入れない。今年1月の県の高校野球部対抗競技会ではティー打撃で9人の飛距離の平均値を競ったが、嘉手納は沖縄尚学の98メートル85を上回る100メートル76で1位。今夏の沖縄大会でもノーシードながら快進撃を続け、美里工との決勝戦の11点は決勝史上最多得点だった。

 昨年12月に臨時コーチに就任した元横浜高野球部長の小倉清一郎氏(72)の存在も欠かせない。前橋育英のエース佐藤攻略法として「高めの真っすぐは力があるから絶対に振るな。変化球も捨てて、コンパクトなスイングで低めの直球だけを狙え」と指示が出されたが、その通り19安打中17本が単打だった。

 甲子園初出場初勝利で16強一番乗り。極東最大の米軍基地である嘉手納基地から500メートルしか離れていないグラウンド。大石主将は「基地の騒音も甲子園の大歓声だとイメージして練習してきました」と胸を張った。 (東山 貴実)

 ▽嘉手納町 沖縄本島の中部に位置し、町の中央部から南側は嘉手納基地が占める。広さは町の面積15・12平方キロの83%にわたり、東京・羽田空港の約2倍。残りの2・6平方キロを居住地として使用する。1944年(昭19)に旧日本陸軍航空隊が中飛行場を開設。翌4月に米軍に占領された。軍用機が200機近く常駐するため、騒音での健康被害も深刻化。

 ≪00年瀬戸内以来≫初出場で初戦の嘉手納が7回に8得点。初出場校の1イニング8得点以上は、00年瀬戸内が岡山理大付戦の4回に8得点して以来。初戦に限ると、63年九州学院が足利工戦の7回に13得点して以来53年ぶり。

続きを表示

この記事のフォト

2016年8月12日のニュース