【夏の1ページ】「ありんこ」の意地 「一番の送球」で二盗阻止

[ 2016年8月12日 10:10 ]

<八王子学園八王子・日南学園>3回1死一塁、長原の二盗を刺す八王子学園八王子・細野

第98回全国高校野球選手権第5日・1回戦 八王子学園八王子1―7日南学園

(8月11日 甲子園)
 敗れた直後は涙が頬を伝ったが、すぐに晴れやかな表情を浮かべた。八王子学園八王子の正捕手・細野は「全ての球児が目指す甲子園に来られて誇りです。やり切ったので悔いはない」と充実感をにじませた。

 強い相手に群れを成して挑む精神からチームの愛称は「ありんこ軍団」。日南学園に挑み、3回1死一塁で二盗を刺した。遠投110メートルの強肩で4万1000人の大観衆を沸かせ「今までで一番の送球」と胸を張った。

 巨人・松本のはとこ。幼少期にプレゼントされた打撃手袋とバットは大切に自宅に飾っている。甲子園前には親戚を通じて「頑張れよ」とエールをもらった。松本を参考にして今夏からバットを短く握るように修正し、3回にはチーム初安打となる中前打を放った。

 5月に10年間、可愛がった愛犬が亡くなった。名前は「エース」。くしくも同日の練習試合で高校で初の本塁打を放ち、最後の夏に夢舞台でプレーした。「“エース”が力を貸してくれたのかな」。聖地でバッテリーを組んだ早乙女と米原はまだ2年生。「堂々と投げられるように精神面で成長して戻ってきてほしい」。後輩に思いを託し、笑顔で聖地を去った。 (青木 貴紀)

 ◆細野 悠(ほその・ゆう)1998年(平10)7月9日、東京都生まれの18歳。幼少期から鷹の台スパローズで野球を始める。小平五中時代は武蔵村山シニアに所属。八王子学園八王子では1年秋に初めてベンチ入りし、2年秋から正捕手。家族は両親と兄。1メートル73、73キロ。右投げ右打ち。

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2016年8月12日のニュース