筒香 伝説超え35号 プロ野球1号男抜き左打者66年ぶり球団新

[ 2016年8月12日 05:30 ]

<巨・D>5回1死、筒香が左中間に35号ソロを放つ

セ・リーグ DeNA5―4巨人

(8月11日 東京D)
 伝説の打者を超えた!DeNAの筒香嘉智外野手(24)が11日、巨人戦の5回にリーグトップの35号ソロを放ち、前身の大洋が創設された1950年の藤井勇を抜き、左打者の球団シーズン最多本塁打記録を66年ぶりに塗り替えた。3回には決勝打となる先制二塁打を放つなど、2安打2打点。4安打3打点の3番・梶谷隆幸外野手(27)と2人で全5打点を叩き出し、東京ドームでの連敗を6で止めた。

 バットとボールの接地時間がとにかく長い。5回1死、梶谷の3ランで4点リードに広がった直後の第3打席。筒香は1ボール1ストライクから、左腕・今村が投じた高めの直球を押し込むように左中間席へ運んだ。35号は50年・藤井勇の記録を塗り替える左打者の球団記録となった。

 「梶さんが前で打ってくれて、それに乗っただけですよ。最多本塁打?そうなんですか」

 36年にプロ野球公式戦1号を放った伝説の選手を超えたが、自らの記録には無関心だ。3回は2死一、三塁から先制の右翼線二塁打。前日は初回の好機に投ゴロ併殺で相手に主導権を渡しただけに「昨日はあれでつぶしたので打てて良かった」。先制打と東京ドームでの今季初アーチで、鬼門となっていた同球場でのチームの連敗を6で止めたことを一番喜んだ。

 最近手に取った本に、「雀鬼」といわれ、20年間無敗を誇ったとされる桜井章一氏の自己啓発本があった。自らは麻雀をしないが「面白かった。すぐに読めました」と話す。寝る前に読書するが、ジャンルは多岐にわたる。探求心から得た柔軟な思考と「相手投手によって自らの打撃を変えることはしない」というブレない技術が、高次元で組み合わさっている。タイトルを争うヤクルト・山田が故障で離脱している間に、本塁打は2本差をつけ、82打点は2差に迫った。

 7回の守備から退いたが、復活セーブを挙げた山崎康に、真っ先にベンチを飛び出して抱きつく主将の姿があった。「自分どうこうではなく、チームが勝つことが一番大事。全部の試合を勝ちにいけるようにやるだけです」。2位の巨人とは4・5ゲーム差あり、12日からは本拠地で首位・広島を迎え撃つ。チームを押し上げるには、筒香の爆発が不可欠だ。 (倉橋 憲史)

 ▼DeNA・梶谷(5回に右翼ポール直撃の12号3ラン含む4安打)感触はあまりなかったが、いいところに飛んでくれた。今は強く振れる球をしっかり振ることを意識している。

 ▽藤井勇 鳥取一中から36年にタイガース入団。左打ちの外野手として球界草創期に活躍し、同年5月4日のセネタース戦(甲子園)でプロ野球公式戦第1号本塁打をランニング本塁打で記録。両リーグ分立の50年からは大洋の一員となり自己最多の34本塁打を記録。58年まで在籍し55年には兼任監督を務めたが、セ・ワースト記録の99敗を喫し6位に終わった。通算成績は1487試合で打率・275、146本塁打、764打点。

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