「浪速の四天王」が目玉 10年前のドラフトを振り返る

[ 2015年10月21日 13:15 ]

05年7月、開会式後、互いの健闘を称え、手を合わせる「浪速の四天王」(左から)大阪桐蔭・辻内崇伸、履正社・岡田貴弘、大阪桐蔭・平田良介、近大付・鶴直人

 今から10年前、2005年のドラフト会議は、前年よりも大きく変化した。それまで1回の開催で終えていたものを、10月に「高校生ドラフト」、11月に「大学生・社会人ドラフト」と分離し、2回にわけたのだ。

 また、「自由獲得枠」が「希望枠」と名前が変わり、12月には育成選手を獲得する「育成ドラフト」が初めて開催された。ドラフト会議が変革の時を迎えた2005年のドラフトを、改めて検証してみたい。

◎高校生ドラフトは野手が「豊作」、投手が「不作」

 まず、この年の高校生ドラフトでは顕著な例がみられた。それは「野手は豊作。投手は不作」という点だ。

 ドラフト1位の野手をみると、中日の平田良介、日本ハムの陽仲壽(岱鋼)、西武の炭谷銀仁朗、オリックスの岡田貴弘(T-岡田)と、各チームの主力選手となった顔が並ぶ。2位以下も、今季セ・リーグ首位打者となったヤクルト3位の川端慎吾、阪神4位の前田大和(大和)、横浜3位の黒羽根利規、楽天3位の宇部銀次(銀次)、同4位の枡田慎太郎、日本ハム4位の今成亮太(現・阪神)と、主力選手から貴重なユーティリティープレーヤーが揃っている。特に楽天は3位で銀次、4位で枡田を指名。2013年、楽天初の日本一に貢献した選手を獲得していた点は特筆すべきだろう。

 一方、投手に目を向けると、目立った活躍をしているのは横浜1位の山口俊、ヤクルト1位の村中恭兵くらいと寂しい。この年、高校生投手で評価が高かったのは巨人1位の辻内崇伸だった。しかし、1軍登板はなく2013年には戦力外となり引退。辻内、平田、岡田とともに「浪速の四天王」と呼ばれた阪神1位の鶴直人は、ここまで1軍通算9勝と評価に見合う活躍とは言い難い。巨人は辻内だけでなく、3位の加登脇卓真も1軍登板なく退団。4位で指名した福井優也は入団拒否(大学卒業後、広島に入団)するなど、振り返れば巨人の高校生投手ドラフトは失敗している。

◎社会人ドラフトではソフトバンク、オリックスが成功!?

 一方、大学生・社会人ドラフトを見ると、ソフトバンクとオリックスの指名が目を引く。ソフトバンクは希望枠の松田宣浩を筆頭に藤岡好明(現日本ハム)、甲藤啓介(昨年、オリックスを自由契約)、本多雄一、柳瀬明宏と、指名した5人の選手が1軍で結果を残した。

 オリックスは、平野佳寿(希望枠)、岸田護(3位)、森山周(4位・楽天を今季限りで引退)、中山慎也(5位)の4選手が活躍している。オリックスは高校生ドラフトの岡田も含めると、チームの軸となるような選手を獲得した、評価できるドラフト指名だった。

 セ・リーグに目を移せば、中日の吉見一起(希望枠)、藤井淳志(3位)、新井良太(4位、現阪神)という指名や、阪神の岩田稔(希望枠)、渡辺亮(4位、今季限りで引退)という指名も成功だった。

 下位指名では日本ハム4位の武田勝、巨人5位の脇谷亮太(現西武)、楽天8位の草野大輔が、当初の評価を覆した。

 しかし、この年のドラフトでプロ入り後に最も評価を高めたのは、巨人の育成1位・山口鉄也だ。2007年に支配下登録されると、左のセットアッパーとして大活躍。昨季はプロ野球史上初となる通算200ホールドを達成し、今季で8年連続となる60試合以上の登板も記録。現在も巨人に欠かせない存在となっている。(『週刊野球太郎』編集部)

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