世界の王からの金言「ちゃんと振り返って見た方がいい」モノとは

[ 2015年10月13日 09:30 ]

ソフトバンクの王球団会長

 「君たちもちゃんと振り返って見た方がいいぞ!」。世界の王からそんな忠告を受けるとは思わなかった。

 9年前の言葉だが、今も鮮明に記憶に残る。振り返れと言われたのは人生とか、叙情的なものではない。「うんち」である。

 06年に当時、ソフトバンクの監督だった王貞治球団会長は胃がんを患った。01年に恭子夫人を胃がんで亡くし、毎年、何十万円もする検査は欠かさなかった。それでも病巣は容易に見つからなかった。だが、ある日、トイレで振り返ると異変を感じた。「真っ黒い炭のようだった。これはおかしいと思ったんだ」。その後、いくつかの病院で検査を繰り返し、ようやく病巣は見つかる。手術ではリンパ節への転移も確認された。あと少し、発見が遅ければ、命にかかわっていた。

 あれから9年。8時間も及ぶ胃の全摘出手術から生還した75歳は現在、大食漢だった昔ほどではないが、食欲もありワインやビールをたしなむ。球団、球界のために動き回れる体力が戻った。一方、がんは治る病気と言われるようになったものの、先日、女優・川島なお美さんは肝内胆管がんにより、54歳の若さで死去した。13年7月に腫瘍が見つかり、発見時に医師から「余命1年」と宣告されていたという。この訃報に接し、どんな治療より、早期発見こそが大切だと思い返した。

 王会長の最近の口癖は「なんか、おかしいんだよ」だそうだ。気になるところがあればすぐ、検査を受ける。何もなければそれでいい。石橋をたたいて渡る用心深さには頭が下がる。もし、あの時、振り返らず、水に流したとしたら、今の姿はなかったのではないか。大切なのは普段とは違う何かに気づくこと。たった数秒。日常生活のちょっとした確認作業が、命を救うこともある。(福浦 健太郎)

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