成東・大塚監督 涙の教え子撃破…3月まで指導の幕張総合に

[ 2015年7月15日 06:23 ]

<成東・幕張総合>選手の気持ちを察し涙を浮かべる大塚監督

第97回全国高校野球選手権千葉大会2回戦 成東12―9幕張総合

(7月14日 習志野市秋津)
 第97回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は14日、32大会で274試合が行われた。千葉大会では成東が幕張総合を12―9で下し3回戦進出。就任1年目の大塚仁巳監督(48)は今年3月まで指揮を執っていた高校を相手に好勝負を演じた。

 高校野球にこんな複雑な勝利があるなんて…。運命とは時に残酷だ。両チーム合わせて35安打の乱打戦を制したのは、17安打を放った成東だった。歓喜に沸いているナインを横目に、大塚仁巳監督は手放しで喜ぶことができなかった。今年3月まで、対戦相手の幕張総合の監督として球児たちを指導していたからだ。

 6月19日の抽選会で相手が決まった時は「何て運命なんだ」と嘆いた。「倒してやろうとは正直思えなかった」というのが本音だった。幕張総合に数学教師として6年間勤め、今年異動の辞令を受けた。大好きな教え子にはショックですぐに伝えられず、異動の1週間前にようやく事実を告げた。

 だが、試合が始まれば真剣勝負。2点を追う3回に4安打を集中し逆転。その後も着実に追加点を重ねた。試合後、引退する幕張総合の3年生のことを問われ「一生懸命やる子たちでね…」と涙をこらえきれなかった。幕張総合の佐藤主将は「負けてしまったけど、監督のチームならしようがない。練習嫌いな僕たちを鼓舞してくれた。今まで出会った監督の中で最高の存在です」と涙を止められなかった。

 大塚監督は「成東高校は僕の母校であるし、過去の先輩方が時間をかけて築き上げてきたものがある。負けてしまったら申し訳ない」。かつての教え子たちの分まで、前を向いていた。(近藤 大暉)

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