西岡帰ってきた 悪夢から89日ぶり復活も「応えられず悔しい」

[ 2014年6月28日 07:06 ]

<神・中>7回無死、折れたバットをかわしながら谷の打球をさばく西岡

セ・リーグ 阪神2-2中日

(6月27日 甲子園)
 一度は傷だらけになった阪神・西岡が、鳴り止まない拍手の中に帰ってきた。3月30日、巨人戦の守備中に福留と激突し、ろっ骨骨折など、選手生命を脅かすほどの大けがを負ってから89日。今季初の甲子園での出場が、待ちに待った復帰の舞台だ。

 「どの選手よりも大きな歓声を頂いたのは聞こえていた。でも、それに応えられず悔しい」

 復活の事実より、結果を出せなかった未熟さを嘆いた。3打席目まで、左腕・大野の前に右飛、左飛、左飛。4打席目こそ左中間に鋭い打球を飛ばしたが、大島の好守に阻まれた。「3打席目までは紙一重。4打席目に修正できたけど(1軍は)修正する場所じゃない。結果を出すところ」。

 1軍に合流した前日26日の全体練習で「忘れられない一日になる」と称した再出発の「6・27」。「H」ランプは灯らずに終わったが“新天地”となった「三塁」では存在感をたっぷり見せつけた。5つの打球を無難に処理。最大の見せ場は1―1の8回2死。森野の痛烈なライナーに見事に反応し捕球した。少しでも判断を誤れば長打になる場面を救った。その意気にメッセンジャーも応える。9回1死二塁で谷の打球をはじき、失策を記録。だが助っ投が意地で後続を断った。虎党と仲間に助けられた夜は一生の思い出となった。

 奇数打席では昨季前半戦まで使用していた「カーテンコール」、偶数打席では本来の「スーパースター」とともに打席へ。歌い手で、親交の深いシンガーソングライターの強(つよし)も一塁側スタンドから観戦。「剛らしい演出。感動しっぱなしです」と目を潤ませた。強だけじゃない。多くの親友が折れそうな心を支えてくれた。だから弱いところは見せたくなかった。「体痛くないの?」と問われても「痛いよ。でも心配されるの嫌いやから。平気」と強気を貫いた。雨中、フードをかぶってランニングしたこともある。すべてはこの日を迎えるため―。

 「飛び越えては先に進めないからね」。西岡剛の第2の開幕戦。見届けたすべての人の心に、確かに刻み込まれた。

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2014年6月28日のニュース