巨人ドラ5・平良に未知の魅力 “ワケあり”山なりキャッチボール

[ 2014年1月15日 10:07 ]

山なりのキャッチボールをする巨人5位・平良拳太郎

 巨人ドラフト5位・平良拳太郎にとってプロ入りまでの野球人生は、常に自分との闘いだった。

 「小学校の時からチーム内でも競争することがなかった。(北山)高校では、神谷善隆監督から“自分で考えて練習をしろ”と言われました。プロ入り前に考える力を養えたと思います」

 人口1万人に満たない沖縄県の今帰仁村(なきじんそん)出身。高校まで地元で野球を続けたが、実力が一人ずばぬけていたため、練習はほぼ別メニュー。ブルペン投球の球数まで自分で考えた。本格的に野球を教わったことはない。それでもスリークオーターから繰り出す速球は、最速147キロ。3年春には沖縄県大会を制覇し、4月の九州大会2回戦では、センバツ出場の創成館(長崎)を相手に16奪三振で2安打完封。自力でプロの扉をこじ開けた。

 1年時の新人大会は野球部の同級生が7人で、陸上部などから選手を借りて大会に出たが、整列の際に相手チームから笑われたこともある。「本土のチームに勝って見返したかった」。雨が降れば校舎の廊下でキャッチボール。窓を割ったことだってある。プロのスカウトが見に来る練習試合が平良の公式戦だった。

 9日の新人合同自主トレ初日のキャッチボールは山なり。慣れない寒さと肩の仕上がりが遅い自分の体を考えた結果だ。一方で、3000メートル走では8選手中トップ。未知数の魅力がある。

 入寮した7日。沖縄の自宅を朝6時30分に出た時、野球部の同級生7人が道に並んでいた。「最初の試合は絶対に見に行くよ」。その約束を果たすのが当面の目標だ。

 「仲間に忘れられないうちに1軍で活躍できるように。質を高めた練習を積んでいきたい」。プロにはライバルもたくさんいるが、それさえも新鮮に感じる。

 ◆平良 拳太郎(たいら・けんたろう)1995年(平7)7月12日、沖縄県生まれの18歳。5歳から野球を始める。北山では甲子園出場経験はないが、最速147キロの速球とスライダーを武器に3年春の沖縄県大会優勝。九州大会ではベスト8に進出した。趣味は漫画を読むこと。50メートル走6秒5、遠投115メートル。1メートル81、70キロ、右投げ右打ち。血液型はO。

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