“星稜旋風”20歳西川 7回2死まで完全!夢は松井氏と食事会

[ 2013年8月1日 06:00 ]

<神・中>2回無死、西川はマートンを右飛に打ち取る

セ・リーグ 中日1-0阪神

(8月1日 甲子園)
 大記録まであと7人。打線の援護は5回のクラークの14号ソロによる1点だけ。今季4度目の先発で中日・西川は7回2死までパーフェクトだった。

 この回の先頭・坂のストライク判定では和田監督の抗議があった。その後、鳥谷に四球を与えて初めて走者を背負い、マートンに中前打を浴びた。それでも一、二塁のピンチで新井を141キロ直球で二ゴロに打ち取った。

 「打たれるのは当たり前。記録は意識していませんでした。ここまで長かったというのが正直な気持ち。甲子園で勝てて本当にうれしい。母校も甲子園に出るので強い気持ちで投げました」

 20歳右腕は伸びのある直球を軸に3回まで飛球アウトは8個。中盤以降はカーブを織り交ぜながら、スライダーを低めに集めた。7回1安打無失点。プロ初勝利を完全試合で飾ることはできなかったが、星稜時代に縁のなかった聖地でメモリアル白星を飾った。

 スタンドでは母・由紀子さんが観戦した。「(ウイニングボールは)母親が来ているのでプレゼントしたい」。08年に父・雅幸さん(享年57)が亡くなってから女手一つで育ててくれた。この日は父の遺影を抱えながら、投げる姿を見守ってくれた。勝利を報告したい人は他にもいる。母校の先輩である元巨人、ヤンキースの松井秀喜氏だ。昨年の正月、母校で初対面。ドラフト指名を受けたばかりの右腕は「自分の気持ちをしっかり持って、頑張れ」と激励された。

 憧れの大先輩は、正月に後輩プロ野球選手と食事会を開くことを恒例行事とする。参加資格を得た昨オフは、松井氏が現役引退したばかりで米国から帰国できずに実現しなかったが、「会った時は緊張しました」と話す雲の上の人にも、ほんの少しだけ近づけた。

 「(松井氏、サッカーの本田圭佑ら星稜の先輩が活躍し)どんどんついていけるように、これからも頑張ります」。高校時代は金沢・釜田(楽天)と並ぶ逸材と注目された高卒2年目。その表情にはまだあどけなさが残るが、負ければ今季最多タイの5連敗となる窮地を救った。

 ▼中日・高木監督(西川は完全試合を)やると思った。流れでこういう(チーム状態が悪い)時に出るんだよ。

 ◆西川 健太郎(にしかわ・けんたろう)1993年(平5)4月18日、石川県生まれの20歳。星稜では1年秋からエースとして活躍。3年夏の石川大会は準決勝で釜田(現楽天)擁する金沢に敗れ、甲子園出場なし。11年ドラフト2位で中日入団。昨季は3試合に登板して0勝0敗、防御率1・29。柔らかくしなやかなフォームが特徴。1メートル84、73キロ。右投げ右打ち。

 ≪星稜OB現役アスリート≫

 ☆楽天・島内宏明(08年卒)高校時代は主将を務め、3年夏に甲子園出場。50メートル5秒8の俊足で、今季は6月以降にスタメン定着し、快進撃の立役者の一人。

 ☆巨人・高木京介(08年卒)1年秋からエース兼4番を担い、島内とともに甲子園出場。最速149キロの直球に加え、変化の鋭いカーブが武器。制球力も抜群。

 ☆CSKAモスクワ・本田圭佑(05年卒)3年時の高校サッカーで石川県勢初の4強。日本代表不動の司令塔で、セリエAの名門ACミランへの移籍が注目を集めている。

 ☆Jリーグ鳥栖・豊田陽平(04年卒)高校時代は本田の1学年先輩。1メートル85、79キロの体格とパワフルなプレーが魅力の点取り屋。今年7月の東アジア杯で日本代表初選出。

 ☆Jリーグ柏・鈴木大輔(08年卒)3年時に新潟の特別指定選手に登録され、U―17日本代表にも選出された大型DF。12年ロンドン五輪出場。今年7月の東アジア杯では日本代表初選出。

続きを表示

この記事のフォト

2013年8月1日のニュース