天国の尾藤さんにささぐ 箕島スマイル1勝

[ 2011年7月17日 06:00 ]

<日高中津・箕島>笑顔でスタンドに向かう川口(左端)ら箕島ナイン

和歌山大会2回戦 箕島7―2日高高中津分校

(7月16日 紀三井寺)
 27年ぶりの夏の聖地を目指す箕島ナインには、目には見えない「尾藤魂」が宿っている。今年3月6日に68歳で亡くなった、歴代9位の甲子園通算35勝を誇る勝負師。尾藤公元監督は「失敗は誰でもする。それを補い合えるから野球は面白い」が口癖だったという。

 硬さの見える初戦。先制しながらすぐに追いつかれた。同点の5回、走者としてけん制で刺されるミスを犯した川口は、6回に高校1号本塁打を放ち、自らのミスをバットでカバーした。「負けたらどうしようと思った」。投げては2失点で最後までマウンドを守り、師の教えを実践した。

 バックネット裏では、尾藤元監督が優しいスマイルで見守っていた。同監督の2学年後輩にあたる石井捷平さん(66)が「一緒に校歌を聞きに行こう」と、遺影を手に後輩たちにエールを送り続けた。恩師のサプライズ観戦に、松下博紀監督は「知らなかった。おかげで勝たせてもらえた」と涙目で感謝した。試合前日に墓前で勝利を誓い、試合後も白星を報告するために足を運んだ。

 座右の銘は「一期一会一球」だった尾藤元監督。遺骨は現在、甲子園の土に囲まれた部屋に納められている。甲子園では決して怒った表情は見せず「尾藤スマイル」を貫いた。まずは初戦を突破した箕島ナイン。最後まで笑顔で、かつての指揮官が慣れ親しんだ甲子園を目指す。

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