アンビリーバボー!41歳山崎「鈍足全力疾走」!

[ 2010年9月5日 06:00 ]

<楽・西>9回無死一、二塁、楽天・草野の右翼線二塁打で二塁走者・山崎は、激走し生還

 【楽天7―6西武】41歳の「鈍足全力疾走」が歴史的劇勝を呼んだ。5点を追う9回無死二、三塁。楽天・山崎の打球は二遊間へ。高いバウンドを処理した西武・片岡の送球よりも一瞬早く一塁を駆け抜けた。奇跡への1点目となる二塁内野安打。この激走が打者11人、8安打6得点を呼び、9回5点差からの逆転サヨナラ勝ち。史上初めて最下位チームが首位相手に起こした大逆転劇だった。

 「できるだけ、ひざだけ高く上げて走ろうって。きょうは足で稼ぎました。ホームラン出ないから足で稼いでやったよ。ハッハッハ」
 山崎の3度の激走が光った。(1)2回、先頭で打球は中堅右へ。微妙なタイミングも、一気に二塁へ向かいスライディングの差で二塁打。(2)9回の二塁内野安打。(3)その直後、9回無死一、三塁から中村紀の中前打で好スタートを切り三進。
 「右への当たりでは常に(次の塁を)狙っている。走塁は意識の問題。うちは若いやつが意欲がない。“オラっ”て言わないとやらないんだ」。30メートル走は4秒56。チームの野手37人中34番目だ。遅くても高い走塁への意識がある。「初回に片岡が(スピードを)抜いたでしょ。あれがセーフなら川井もリズムが崩れた」と永池内野守備走塁コーチ。初回、一ゴロをルイーズがはじいたが二塁手の内村がカバー。片岡を刺した。意識の差が対照的に表れたプレーだった。
 試合後は親友で先輩の中日・山本昌の史上最年長完封を喜んだ。「あの人がやる限りオレもやめられんな。普通7、8月まで1軍上がれなかったら腐るぞ。あの人もオレを励みにしてくれているし、オレもそう。帰って電話するよ」。優勝争い真っただ中の先輩と状況は違っても姿勢は同じ。楽天のお父さんが見せた、最後まであきらめない全力プレーだった。

 ▼楽天・ブラウン監督 アンビリーバボー。最後まであきらめない姿勢が出た。山崎は41歳とは思えない速さだ。聖沢のようなスピードで走ることはできないが、彼のああいう走塁は周囲に勇気を与えてくれた。

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2010年9月5日のニュース