イチロー 6年ぶり3安打3盗塁で連敗止めた

[ 2010年5月11日 06:00 ]

<マリナーズ・エンゼルス>七回裏、左前打の後、二盗を決めるイチロー

 【マリナーズ8-1エンゼルス】マリナーズのイチロー外野手(36)が9日(日本時間10日)、エンゼルス戦で自身6年ぶり、2度目となる3安打3盗塁を記録。リードオフマンとしてフル稼働し、チームの連敗を8で止めた。試合前には深刻な得点力不足を理由にアラン・コックレル打撃コーチ(46)が解任され、傘下3Aタコマからアロンゾ・パウエル氏(45)が昇格。開幕から31試合目での刷新人事の中、イチローが打って走ってベンチのムードを刷新した。

【試合結果


 前日に主役の座を奪われた背番号55がいないグラウンドで、背番号51がスピードスターと化した。3回に今季40安打目となる中前打を放つと、イチローはすぐさま二盗に成功。続く5回も左前打を放ち、再び二盗。後続の適時二塁打で生還した。極め付きは7回。1死から左前打し、計5球のけん制を受けながら、余裕で二塁を陥れた。

 「けん制の多さはあまり関係ないからね。数とその難しさは比例しないんですよ。けん制しなくても難しい投手はいるし、100回したって簡単な投手はいる」

 自身、1試合3盗塁以上は大リーグ通算10度目。3安打3盗塁となれば、2度目の快挙だった。ワカマツ監督は「イチローが試合をつくってくれた。出塁してかき回すことを選手に指示していたが、それを実現してくれた」と連敗阻止の立役者に最敬礼した。

 もっとも試合後のイチローに笑顔はなかった。「何て答えたらいいんだろうね。こういう時って…」。試合前にチームに衝撃が走った。球団はチーム打率・225の責任を問う形で、コックレル打撃コーチを電撃解任。イチローも「いい人間だったし残念ですけど、僕らは前向いてやるしかないからね」と複雑な表情を浮かべた。代わって就任したのが中日、阪神でもプレーし、94年から3年連続で首位打者を獲得したパウエル新コーチ。試合前に「(各選手が)1試合に1度、いい内容の打席を」との就任の抱負を語った中、イチローが“3度分”実践した。

 イチローVS松井として大きな注目を浴びたマ軍―エ軍の今季最初の3連戦が終了。「どうやって(松井を)意識したらいいか分からない。僕は投手をやる可能性はあるけど…。なんか(対決が注目され続けることが)面白いよ。独特な感じ。ありがとうございますって感じ」との言い回しで振り返ったイチロー。敵は松井にあらず。打撃コーチ交代をカンフル剤に、1番打者としてチームをけん引していくことこそがイチローの使命だ。

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2010年5月11日のニュース