伝説の嶋さんも天国から「ようやってるのう」

[ 2010年3月22日 12:37 ]

勝利した向陽の校歌を聴くOBの古角俊郎さん(右)

21世紀枠 向陽勝利の校歌!甲子園に響き渡った!

 【センバツ・向陽2―1開星】平和と歴史の重みを感じながら、新しい歴史の一ページを彩る――。兵庫県西宮市の甲子園球場で行われている第82回選抜高校野球大会で22日、21世紀枠で36年ぶりに出場の向陽(和歌山)が1回戦に登場した。
 大正時代の1921年に創部の向陽は、旧制の海草中時代に39、40年と夏の甲子園大会で連覇。39年は嶋清一さんが準決勝と決勝でノーヒットノーランを記録した。嶋さんは24歳で戦死したが、2008年には野球殿堂入りした。その嶋さんと同期だった古角俊郎さん(88)はバックネット裏から見守り「目の黒いうちにこういう機会に恵まれ本当にうれしい」と感慨深げだった。
 応援のアルプス席は関係者、OBら約5000人が集まった。人文字では平和の「和」の文字が浮かび上がった。大声援に背中を押され、試合は開星(島根)を2―1で振り切った。古角さんは「嶋も『ようやってるのう』と喜んでくれていると思う。100点満点」と笑顔をのぞかせた。
 海草中と向陽の頭文字である「K」をユニホームの袖に入れ、古角さんの時と同じデザインのストッキングを着用。「いいものは残しつつ、新しい歴史をつくりたい」と話す西岡俊揮主将の言葉通り、ナインは生き生きと白球を追った。
 石谷俊文監督は向陽の内野手として69年の選抜大会に出場した。その時は1回戦で敗れたが、この春は監督として1回戦を突破。「嶋さんの命日の3月29日まで(甲子園に)残りたい」と言う目標に一歩近づいた。

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2010年3月22日のニュース