涌井「ダル抑えてうれしい」沢村賞

[ 2009年11月3日 06:00 ]

沢村賞を獲得した西武・涌井秀章

 創設期の名投手、故沢村栄治氏を記念した「沢村賞」の選考委員会が2日、都内で開かれ、パ・リーグの最多勝に輝いた西武・涌井秀章投手(23)が初めて選出された。西武からは01年の松坂大輔(現レッドソックス)以来で、5年連続でパの投手が選ばれた。涌井は来季の目標に「18勝での沢村賞」を掲げ、“松坂超え”を誓った。

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 西武のエース、そしてパ・リーグを代表する投手へと成長してきた涌井が5年目でついに投手にとって最高の栄誉である沢村賞を手にした。「めったに選ばれない賞なんで、聞いた瞬間は素直にうれしかったです。三振も多かったし、1人だけ2ケタ完投だったから可能性はあると思っていました」。宮崎・南郷キャンプ中に届いた吉報に笑みがこぼれた。

 ダルビッシュ、杉内らを抑え、選考基準である7項目をただ1人、すべてクリアした。「ダルを抑えて獲れたのがうれしい。あいつも(07年に)獲っていたんで、いつかは自分もという思いはあった」。帆足から300万円の賞金について「何に使うんですか?」と“取材”されると「あっち行ってよ」と照れた。

 今季は16勝を挙げて2年ぶりの最多勝を獲得。中でも奪三振数は昨季の122から199と飛躍的な伸びを見せた。4月24日ロッテ戦(西武ドーム)では史上初の毎回&全員の12奪三振を記録。昨季までが変化球で打たせて取る「柔」なら、今季は力でねじ伏せる「剛」も兼ね備えた投手へと進化を遂げた。「今年は腕も強く振れて力でいけると感じていた。人は気持ちで変わりますね」と成長を実感している。

 西武では横浜高の大先輩でもある松坂以来の受賞。涌井は背番号18を継承した年に、あこがれの人と肩を並べることができた。「(西武に)入った時よりも、松坂さんに近づくことができたかな」と手応えを感じながらも、向上心は忘れない。松坂の日本での最多勝利数は自身と同じ17。「松坂さんでも18勝は達成していない。来年は18勝して沢村賞を獲りたい。そうじゃないと(90年に18勝した)渡辺監督にずっと言われるんで」と、“松坂超え”での連続受賞を心に誓った。

 エースが勝ち星を増やせば増やすほど、来季のV奪回が見えてくる。「来年は大事な試合で全部勝ちます」。球界のエースとなった23歳は、さらなる高みへと上り続ける。

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2009年11月3日のニュース