ヤンキース奇襲で王手!松井秀世界一へあと1勝

[ 2009年11月3日 06:00 ]

世界一に王手をかけ、ナインを迎える松井秀喜(右から2人目)

 【ヤンキース7-4フィリーズ】ヤンキースが世界一に王手をかけた。1日(日本時間2日)、ワールドシリーズ第4戦でフィリーズを7―4で下して、00年以来9年ぶり27度目となる世界一の座に王手をかけた。松井秀喜外野手(35)は同点の9回、代打で遊飛に倒れたが、その後2死無走者からチームは3点勝ち越して逃げ切った。持ち味である終盤の勝負強さを発揮したチームの勢いは増すばかり。2日(同3日)の第5戦で一気の決着を狙う。

【試合結果
日程と結果


 慢心はない。だが勝利に沸くクラブハウスで、松井はチームの底力を感じ取っていた。同点に追い付かれた直後の9回、自身は代打で遊飛に倒れたが、チームは2死無走者から一挙3点を奪って世界一へ王手をかけた。

 「2死から非常に素晴らしい攻撃でした。強いヤンキースという感じだった」。松井は悲願達成への手応えを口にした。

 流れは完全にフ軍だった。1点リードの8回2死、チェンバレンが7番の伏兵フェリスに同点弾を被弾。直後、相手守護神リッジに簡単に2死を奪われたが、あきらめないのが今季ヤ軍の真骨頂だ。デーモンが9球粘って左前打。続くテシェイラに対し、フ軍は右方向への引っ張りを警戒して三塁手が二塁ベース後方を守る極端なシフトを敷いた。だが、待ってましたとばかりにデーモンはこれを利用。「あのシフトは一気に三塁も狙えるかもとみんなと常に話し合っていた。最高の場面だった」。初球に走って二盗成功。二塁ベースカバーに三塁手・フェリスが入ったことで、スライディングから立ち上がるとそのままスタート。狙い通り、がら空きとなった三塁を楽々と陥れた。

 テシェイラの死球で一、三塁としてロドリゲスが決勝打を放ったが「リッジはスライダーが武器だが、ワンバウンドが多い。三塁に走者がいれば後逸を恐れてスライダーを投げにくくなる」とデーモン。2球続いた直球を絶好調の主砲がとらえたのは必然だった。破壊力ばかりが際立つ打線だが、相手のスキを突く野球が今季の快進撃を支えている。「デーモンが最高のおぜん立てをしてくれた」とロドリゲス。チーム一丸でもぎとった決勝点だった。

 悲願の頂点まであと1勝にも松井は「有利とはいえまだまだ分からない。気を抜けない」と表情を引き締めた。この日の試合前は、先発落ちにもかかわらず大リーグ機構の要請で公式会見に臨んだ。好機に強い打撃は注目度も高く、ここまで打率5割、2本塁打、2打点はシリーズMVPも十分狙える位置にいる。

 DH制がない敵地の第5戦はベンチスタートが決定的だが「確かにあと1つだけどまだ気持ちは変わらない。まずあした、そうなるように頑張ります」。あれほどあこがれた世界一の座が目前に迫ろうと、平常心を強調した。目の前の試合の勝利だけを追求する松井らしさにブレはない。世界一の座はすぐそこにある。

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2009年11月3日のニュース