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ギリ切りの一騎打ち あえて細糸&フライでカツオとバトル

[ 2017年8月5日 07:14 ]

フライフィッシングで2・1kgのカツオをゲットした妻の幸代と筆者
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】今年はカツオが連日釣れ盛っています。私の記憶では約10年ぶり。群れに当たると次々に入れ食いになります。

 我が家では妻の幸代が同行し、超レアなカツオのフライフィッシングに挑戦しました。

 フライの仕掛けの特質上、オモリをつけ深く沈めることはできませんから、魚が水面近くにいないと掛からないのです。その点、シイラやカツオは水面で捕食しますから、群れさえ見つけてまき餌などで船につけてしまえば釣りやすいものです。

 カツオの一本釣りは羽を巻いたバケを使いますのでリールのないフライフィッシングのようなものです。食いついた瞬間に引き抜くのが一本釣りで、そこから魚を走らせ、リールを逆転させて引きを楽しめるのがフライフィッシングです。この時太い糸を使っていれば強引に引っ張ることができます。

 幸代は細い糸を使い、切れないようにファイトして釣るということにチャレンジしました。ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)公認の日本記録狙いも兼ねています。

 これをすることで「切られるかもしれない」というスリルが味わえるわけです。

 フライのハリスはティペットと言いますが、それを最初は5号(20ポンド)、2号(8ポンド)と細くしていき、最後は1号(4ポンド)や0・6号(2ポンド)に落としていきました。

 はっきり言って0・6号ティペットでカツオと戦うことは、他人にはお勧めできません。「取れるわけないじゃん」と言われてしまいそうです。

 しかし太い糸でたくさん釣っても食べ切れません。貴重な1匹をゲットするため行うのです。5号は無理なくいきましたが、2号は合わせ切れなどがありました。1号では走らせている最中にも切れましたが成功。そしてそれまでの経験が生きたのか、0・6号では1匹目をキャッチできました。

 切られた時、「やっぱり無理」と諦めるのではなく、仕掛けをすぐに作り直し再度やる。魚はたくさんいるんですから。「いまここでやらないと東京に帰ったらできないよ」と自分たちを戒めるのです。

 この言葉は、私が沖縄の宜野座沖でマグロ釣りをしているときに漢那港の海勇丸船長、仲栄間盛勇さんに言われました。この言葉に勇気付けられ、7・2キロのメバチを4ポンドでキャッチ。もちろんフライフィッシングです。その魚は釣りのギネスともいうべき国際ゲームフィッシュ協会(IGFA)公認の世界記録になりました。

 こういう挑戦を無意味と考えるべきか、人生やビジネスと重ねて、チャンスを生かしてあえて人がやりにくいことに挑戦すること、と考えるかは個人の考えにお任せです。

 しかしこういう世界があるのだということ。そして太い仕掛けで抜きあげれば、クーラーに収まった多数の中のどれか分からないカツオでも、「記録魚」という付加価値が発生することを知っておいてください。 (東京海洋大学客員教授)

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