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あゝ幻のキザキマス 自信作ディープダイビング・スプーンでヒット連発のはずが…

[ 2017年7月24日 09:04 ]

オモテを上げられません
Photo By スポニチ

 【釣りバッカ天国】長野県大町市の木崎湖だけに棲息する幻の鱒(ます)・キザキマス。姿良し、釣趣良し、食味もまた良し、という貴重なトラウトだが、ルアーでの攻略には「トローリング禁止」という難題が立ちはだかる。その遊泳層が最も深いこの時季に、バッカ野郎はあえて挑戦した。秘密兵器を携えて…。(スポニチAPC 若林 茂)

 思惑通りだった。午前7時半、JR大糸線・稲尾駅の南沖、水深25メートル地点にアンカー着けして2投目。ズズン、と鈍い当たりで底へ底へと突っ込んだこの日の第1号はブルーバックの35センチ、中型のキザキマス。その下唇にはしっかりと“バッカの自信作”をくわえていた。

 厚さ2ミリの真鍮(しんちゅう)板から削り出した長さ80ミリ、重さ22グラムのスプーンは「引いても浮き上がらない、むしろ潜航する」いわゆるディープダイビング機能がキモ。5個ある支点(ラインアイ)の3番目にスナップ掛けして5ポンドラインをロングキャスト40メートル、カウントダウンは15秒だった。魚探で確認したこの朝のマスの遊泳層7〜9メートルを見事に射抜いたことになる。

 快晴、無風。8時、9時と気温はぐんぐん上がるが、釣果の方は逆に完全な右肩下がりに。魚探の反応も10メートル前後からさらに深く、やがて無反応に。9時ごろ、やっと来た40センチ超の良型を取り込み失敗で逃したのが最後とは。負の迷路にハマったようだ。

 一方、この暑さの中、早くもワカサギが釣れだしていて、上半身裸の若者2人は「200匹クリア!」と元気がいい。対してバッカは場所替え&アンカーの上げ下げにもうヘロヘロ。

 ところで、木崎湖漁協が「トローリング禁止」にしているのは、地元の職漁師の立て網(刺し網)優先のためか、他の釣法を妨げないためか。結果的にキザキマスの資源保護につながってはいるが。

 この日、湖水の水面温度は28度。水温躍層(水温が急に変化する層)が8メートル前後とすると、マスの遊泳層はそれ以下、最深部(約30メートル)まで可能性はある。さすが幻のトラウト、一筋縄では攻略できないわけだ。自信喪失気味の新兵器をいったん休ませ、D社のメタル・バイブレーションに“浮気”をしていた午後0時半ごろ、なんと30センチ級のスモールマウス・バスがヒット…。

 それにしても暑い。釣りに熱中して、気が付けば熱中症寸前だった。ポットの氷水1リットルを飲み干し、シャツには汗が乾いた塩が浮き、水上スキーの引き波にも腹が立つ。潮時だった。

 6時間前、意気揚々と出て行った星湖亭の桟橋。カメラを構える中村芳徳店主の「面を上げーい」に、バッカは合わせる顔がなかった。

 ▼釣況 星湖亭=(電)0261(22)1878。入漁料1000円。ボート2人乗り3000円、エンジン船6000円から。キザキマスの漁期は4月1日〜9月14日、ワカサギは通年OK。出船午前7時。

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