80歳土井正博さんの芯で捉えての流し打ち 「凄い!」記者席で思わず声が 偉大な野球人の魂を見た

[ 2024年3月21日 18:00 ]

西武OB戦に出場した土井正博さん
Photo By スポニチ

 今月16日、埼玉県所沢市のベルーナドームで西武球団初のOB戦が開催された。チケットは完売。開門時間を予定より早めるなど大盛況で、大いに盛り上がったイベントとなった。

 7イニング制の試合は見どころ満載だったが、何よりビックリしたのが土井正博さんの打撃だ。御年80歳。それが初回2死の打席で、潮崎哲也さんの112キロの直球を見事にはじき返して右前への快打を放ったのだ。詰まったり、ボテボテの打球ではなく、きっちりと芯で捉えての流し打ち。「凄い!」。記者席で思わず声が出た。

 しかし、この一打は「幻の安打」になってしまった。右翼を守っていた大友進さんが、打球を処理すると一塁に送球。土井さんは必死に走ったが間に合わず「ライトゴロ」に。スタンドは大きなため息に包まれ、打たれた潮崎さんも「土井さんのはヒットでしょう。大友進が空気を読めない!ベンチでしかっておきました」。もちろん大友さんも平身低頭だった。

 記録には残らなかったが、記憶には残った。土井さんは現役時代に通算2452安打(プロ野球歴代10位)、75年には本塁打王に輝くなど通算465本塁打(同13位)の大打者。コーチとしても「名伯楽」として知られ、西武打撃コーチとして清原和博を育て上げた。80歳になっても、偉大な野球人の「魂」を見た思いだった。

 試合後には「ライトゴロ」でアウトになったことに「もう必死。足が動かないよ」と苦笑い。そして「もう一度西武の優勝を見たい。精いっぱい生きるので、何回優勝が見られるか楽しみ」と、OBとしてチームのVを願った。

 土井さん、いつまでもお元気に長生きして、ぜひともまた素晴らしい打撃を見せてください。(記者コラム・鈴木 勝巳)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年3月21日のニュース