震災が人生の「分岐点」――楽天・阿部 誓いの2適時打 先発全員&OP戦最多19安打9得点けん印

[ 2024年3月11日 05:30 ]

オープン戦   楽天9―3日本ハム ( 2024年3月10日    静岡 )

<楽・日>初回、適時打を放つ阿部(撮影・篠原岳夫)
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 東日本大震災は大勢の人生を変えた。楽天・阿部もその一人だ。「分岐点だった。(震災が)なかったら今ここにいないかもしれない」と考えている。

 2011年3月11日は明大3年生だった。話が進んでいた東北地方の銀行への就職は、震災による採用枠の見直しで立ち消えになった。入社が決まれば、野球を引退後はそのまま銀行員になっていたかもしれない。その後、声をかけてもらったHondaでプロの門を開くことになる。

 中日から移籍2年目の34歳は「やってる以上は試合に出たい。結果をしっかり残したい」と開幕を見据える。初回2死満塁での右前適時打に続き、6回は左前適時打。計3安打2打点でオープン戦打率・444に上げた。昨年は78試合出場と不本意だったが、今江監督は「本来の打撃どころか状態が良すぎる」と評価する。

 岩手県一関市出身で阿部の実家は半壊した。家族の無事を確認するまで電話は3時間もつながらなかった。19年に岩手県大船渡市の中学校を復興支援で訪れ、現地の生の声を聴いた。同地から佐々木がロッテに入団する直前で「バットに当てられるように頑張る」と語り、笑いも取った。

 球団創設20年目の今年は東北全6県で主催試合を行う。チームは先発全員のともにオープン戦最多19安打9得点と上向きだ。昨年は2軍調整中で岩手での凱旋試合に参加できなかった。「いろんな方々が大変な思いをしてきた。忘れてはいけない。被災者の方々に、野球でいいニュースを届けたい」。13年以来のリーグ制覇へ「最後は笑っていたい」と言った。(神田 佑)

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