元楽天・西村弥さん 11年3月11日誕生の長男に思う命の輝き「優しい子に育っている」

[ 2024年3月11日 05:30 ]

長男の写真を持つ野球解説者・西村弥氏(撮影・篠原岳夫)
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 元楽天内野手・西村弥(わたる)さん(40=現楽天アカデミーコーチ)の長男は、東日本大震災が発生した2011年3月11日に生まれた。13歳の誕生日を迎え、4月には中学2年生になる。楽天―日本ハム戦のテレビ解説を務めた西村さんは「最初は生まれてきてくれたことを喜んでいいのか複雑だった」と回想した。

 午後1時13分、仙台市内の病院で2815グラムの命が誕生した。ヤクルトとの2軍戦(戸田)の次打者席で、スタンドの義父から「無事生まれたぞ」と教えられた。直後の同2時46分に震災が発生。電話をかけ続けたがつながらず、2人の安否確認ができたのは同9時過ぎで「本当に安心しました」。公衆電話からかかってきた妻・彰子さんの着信で無事を確認した。

 「人生が輝いてほしい」という願いを込めて、輝道と名付けた。「震災があったことは忘れてはいけんよ」と教え続け、小学生になると本人も「3・11」を理解した。父を追うように小学2年から野球を始めた。両打ちだった父と同じ内野手になり、右だけでなく左打席の練習も始めた。

 愛息に初めて会うことができたのは震災から2週間後。「素直に生まれてきてくれたことを喜んでいいんじゃない?」と言う周囲に励まされ「気持ちが楽になった。命の大切さを実感しています」と胸中は変わった。1メートル50、40キロになった輝道君を「優しい子に育っている」と感じている。

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