阪神ドラ5石黒 一躍リリーフ候補に 「エグいフォーク」でG斬り1回完全オープン戦デビュー

[ 2024年3月11日 05:15 ]

オープン戦   阪神4―5巨人 ( 2024年3月10日    甲子園 )

<神・巨>6回から登板した石黒(撮影・西川祐介)
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 “持ってる”男だ。阪神のドラフト5位・石黒佑弥投手(22=JR西日本)が、オープン戦初登板で1軍昇格を決めた。球団史上最多の4万1129人が詰めかけた巨人戦に6回から4番手で登板し、1回を完全投球。岡田彰布監督(66)に、12日からのロッテ2連戦(ZOZOマリン)への同行を即決させた。降雨中止によりデビュー日がずれ込む幸運も味方につけた右腕。オープン戦9連敗を喫した伝統の一戦で、ひときわ輝いた。

 緊張を喜びに、そして力に変えた。初めて甲子園のマウンドに上がった石黒は、虎党でぎっしり埋まった観客席が視線に入っても、驚くほど冷静だった。

 「緊張しながら入ったけど、お客さんを見たら、“わあ、凄いな″という方が勝っちゃっていた。そのまま、いい緊張感で投げることができた」

 0―2で迎えた6回だ。先頭のオコエには内角直球を続け、145キロでどん詰まりの遊飛とした。増田陸は外角低めのカットボールで投ゴロ。萩尾はこの日最速の150キロ直球で追い込むと、最後は遊撃を守っていた木浪が「エグいフォークです」と評した135キロを外角低めに落とし、空振り三振に仕留めた。右手で小さくガッツポーズを決めると、緊張をほどくように、ほーっと息を吐いた。

 「緊張で制球良く投げられなかったけど、力で押すというか、新人らしい勝負ができたと思う」。わずか10球で、05年の実数発表以降では球団のオープン戦史上最多の4万1129人を前に、強烈なインパクトを残した。

 いくつもの幸運をものにした。当初は、同じ甲子園でも5日の楽天戦でオープン戦デビューを果たす予定だったが降雨中止となり、この日にずれ込んだ。とはいえ、あくまで2軍からルーキーのお披露目のために一時的に呼ばれた立場だった。

 しかし、大観衆を前に物おじしない伝統の一戦での快投に、岡田監督は「明日から(千葉遠征に)連れて行くよ。当たり前やん」と1軍昇格を即決。「ある程度、絞っていかなあかん。時期的にそういうことやから」と続け、アレンパ(アレ+連覇)に向けたリリーフの候補と強調した。

 石黒は、昨年12月11日に行われた新入団発表会で「世代を代表する投手」と将来の目標を掲げた。そこに近づくための第一歩。「チャンスをもらえる分には、そこでしっかり成績を残して評価してもらえるように。準備を怠らずやりたい」。この日見せた強心臓ぶりは、公式戦でも生きてくるはず。オープン戦は残り10試合。アピールを重ね、残り少ない開幕1軍切符をつかみ取る。(松本 航亮)

 ◇石黒 佑弥(いしぐろ・ゆうや)2001年(平13)6月20日生まれ、愛知県江南市出身の22歳。星城では3年夏の愛知大会2回戦で石川昂(現中日)擁する東邦に勝利。甲子園出場はなし。JR西日本では3年目の22年から主戦。23年ドラフト5位で阪神入り。1メートル80、83キロ。右投げ右打ち。


 

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