阪神・岡田監督が球界動かした!「ブロッキングベース」5日から適用

[ 2023年9月5日 05:15 ]

8月18日のDeNA戦で9回、二盗を試みた阪神の代走・熊谷は一度はセーフの判定もリプレー検証でアウトに
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 日本野球機構(NPB)とプロ野球12球団による実行委員会が4日に都内で開かれ、不可抗力でも守備側が走者に対してベースを完全にふさいだ場合は「ブロッキングベース」としてタイミングを見てセーフとする判定基準の変更を決めた。5日の公式戦から適用する異例の措置。8月18日のDeNA―阪神18回戦(横浜)で二盗の判定を巡って抗議した阪神・岡田彰布監督(65)の声が球界を動かした。

 野手が向かってくる走者に対して、ベースを完全にふさいだ場合の判定基準の変更が決まった。これまでは故意でなければ、タイミングがセーフでもアウトとしていた。今後は不可抗力であっても、完全にふさいだ場合は、タイミングを見てセーフとする。

 危険な衝突を禁止するための「コリジョン」は本塁に限られ、「セカンド・コリジョン」は併殺阻止を狙う走者の危険なスライディングを防ぐルールだった。今回決まった「ブロッキングベース」は一、二、三塁上で適用され、きょう5日の公式戦から運用される。

 森健次郎審判長は「(走塁)妨害とはできないが、走者の不利益を取り除くということで進塁(や帰塁)を認める」とし、適用か否かの境界線を「セーフのタイミングで、送球がそれたことにより、不可抗力で完全にベースをふさいだ場合」と説明した。

 新解釈が生まれる発端となったのが、8月18日のDeNA―阪神18回戦(横浜)だ。9回に阪神・熊谷がDeNA・京田にブロックされる形で二盗に失敗。当初のセーフ判定がDeNA側のリクエストで覆った。一塁側にそれた送球を、ベースをふさぐ形で捕球した京田の動きは「不可抗力」と判断され、走塁妨害は認められなかった。

 岡田監督は規定の5分を超えて猛抗議し、翌19日には球団として意見書を提出。2日後の20日にはセ・リーグの杵渕和秀統括が横浜スタジアムを訪れ「審判の判定基準に手をつけて認識、解釈を少し改める」と見直しを示唆し、岡田監督も「俺の言うたことを、ちょっとは検討することになったんちゃう?」と歓迎していた。仮に今回の運用を8月18日の事例に適用すれば「セーフ」になる。

 「ブロッキングベース」については審判団が自主的にリプレー検証せず、リクエスト対象とすることを確認。シーズン途中の適用で現場での混乱を避けるため、きょう5日には各球場で試合前に全球団に説明する。規則ではなく運用の変更のため、現時点でアグリーメントなどに記載はしないとはいえ、結果的に岡田監督が球界を動かして誕生した“岡田ルール”と言っていい。12球団最年長監督としての存在感を改めて満天下に知らしめた。

 《森審判長「昔からモヤモヤ」》○…森審判長は「昔からモヤモヤしていたところがあった」と明かした。昨季まで現役審判を務め、一塁けん制の際に一塁手が膝を落としてブロックした際に「オブストラクションにはするけど、(二塁へ)進もうとはしていないので一塁にとどめる取り扱いをしたことがある」と回顧。「リクエスト制度ができ、映像が何度も流れると、放置できない。ファンの皆さんにも納得していただけない」と補足した。

 ○…当該プレーは従来の規則運用では、走塁妨害も守備妨害も適用されることはない。公認野球規則の「定義51走塁妨害」では“野手がボールを持たないときか、あるいはボールを処理する行為をしていないときに、走者の走塁を妨げる行為である”と記載があり、遊撃手はボールを処理する行為をしていたので走塁妨害は宣告されない。守備妨害についても公認野球規則「6.01a(10)」で“走者が(略)送球を故意に妨げた場合”と記載があるため、適用されない。

 ▽8月18日のDeNA戦での岡田監督の抗議 9回1死一塁で代走・熊谷が二盗を試み、遊撃・京田と激突。責任審判だった敷田三塁塁審は「走者と野手が接触していますが、妨害とはいたしません」と説明した。20日にセ・リーグの杵渕統括らが訪れた際には岡田監督が「あれをOKとしたら、皆、あの練習をする。座り込んでボールを捕るよ」とルールの不備を訴えた。

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