【スポニチスカウト部(31)】慶応・丸田湊斗 努力結実で花開いたプリンス

[ 2023年9月5日 06:30 ]

今夏の甲子園決勝で先頭打者本塁打を放った慶応・丸田
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第31回は慶応(神奈川)の外野手・丸田湊斗(3年)。進学が濃厚だが107年ぶりの甲子園制覇に大きく貢献し、U18日本代表にも選出された「慶応のプリンス」の魅力や素顔に迫った。 ドラフト速報

 ひと夏で野球人生が180度変わった。色白で端正な顔立ちで“美白王子”として注目を集めれば、プレーでも史上初の夏決勝の初回表先頭打者本塁打。全国制覇を果たしたチームでひときわ輝きを放った。高校で終える予定だった野球は、U18日本代表にも選出され「第31回WBSC U18ワールドカップ」に出場する。甲子園決勝後、丸田は「ここまで来たら(野球を)続けざるを得ないですね」と笑みを浮かべながら汗を拭った。

 「おそらく一番下手だったと思う。あの頃からしたら今の自分が考えられない」

 時の人として甲子園後も注目を浴び続けるが、ここまでの選手になるまでは相当な努力があった。1年時は公式戦出場がなく、「ずっとBチームで過ごしていた」。選手として生きる道を見いだそうと取り組んだのが打撃強化だ。ほとんど足を上げないフォームから一転、思い切って右足を高く上げるフォームに変更。「これがはまった」と、タイミングが取りやすくなったことで打球も強くなり、出塁率もアップ。塁に出れば50メートル走5秒9を誇る俊足で盗塁を量産し、2年秋からは不動の1番として強力打線をけん引し続けた。

 今夏の甲子園では全5試合1番としてフル出場し、打率・409で1本塁打、4打点、3盗塁と躍動。「自分が一番びっくりしている」と表現したように、U18日本代表にも選出され、今は世界を相手に戦っている。

 中学で終える予定だった野球は「エンジョイベースボール」と出合い、甲子園を夢見たことで慶応で継続。そして3年後、日本一までけん引し、またしても野球人生が延びた。「老後の夢はジャズバーですが、それまではどうなるかもう分からないですね」。常に「目の前のプレーを楽しみ尽くす」ことをモットーとしている丸田の野球人生は、自身が想像しているよりはるかに長いかもしれない。(村井 樹)

 ≪プレー以外の注目も「プラスに捉える」≫美白で端正な顔立ちはSNSでも画像が拡散され、甲子園大会期間中はプレー以外でも大きな注目を集めた丸田。西武、巨人などで活躍した清原和博氏(56)の次男・勝児(2年)も「ずっとそう思っていたので僕たちは驚きませんね」と語ったように、誰もが認めるチームNo・1イケメンだ。注目されることについて問われた時も「みんなができることではないので、ありがたいことだとプラスに捉えています」とさらっと言い切った。多くの仲間が「もっと取り上げてください。うれしがってますよ」と明かしたように、甲子園という大舞台でも注目度が上がるほど実力を発揮した、本物のスターだった。

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