松坂大輔氏 レッドソックスの後輩・正尚の最大の強みは「ブレない」姿勢

[ 2023年5月30日 05:00 ]

23日のエンゼルスーレッドソックス戦の試合前練習へ向かう吉田(右)を笑顔で見守る松坂大輔氏(撮影・会津 智海)
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】本紙評論家の松坂大輔氏(42)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」5月編。大リーグは開幕から約2カ月がたち、レッドソックスの吉田はリーグ6位の打率・303と新天地で奮闘を続ける。松坂氏にとってはかつて所属したレ軍の後輩。本人を取材する機会があり、これまでのプレーぶりから最大の長所は己を知り、そして「ブレない姿勢」にあるとした。

 吉田選手には23日にアナハイムで会いました。自分がキャスターを務める「報道ステーション」の取材で、会うのは開幕前の3月の春季キャンプ以来。話をしていて、ルーキーとは思えない落ち着きを感じましたね。

 インタビュー前にレ軍の選手、スタッフと話をしたんですが、誰もが「彼はナイスガイだよ!」と口をそろえていました。チームに溶け込んでいる、なじんでいるな、と。グラウンドはもちろん、クラブハウスなどでも積極的にコミュニケーションを取っているのでしょう。「彼が打たなくちゃ」と言う人もたくさんいて、1年目ながら主力として頼りにされ、期待されているのが伝わってきました。

 打席での雰囲気、たたずまい。投手目線で見ると今は自分の間合い、タイミングで打席に入れていると感じます。序盤は確かに苦戦したはず。それでも周囲の状況に左右されず、首脳陣のアドバイスなどにも柔軟に耳を傾けながら、自分のやるべきことにしっかり取り組んで状態を立て直しました。「ブレない」姿勢。それこそが吉田選手の最大の強みでしょう。やるべきことが見えている。彼は「己」をよく知っているのだと思います。

 自分も経験しましたがボストンのファン、そしてメディアは独特であり、特別です。頑張れば称えられ、結果が出なければ叩かれる。逆に言えば非常に分かりやすいですし、プロの世界とはそういうものだと思います。まだ自分は吉田選手が本拠地フェンウェイ・パークでプレーしている姿は見ていませんが、そのバットでこれからも地元ファンを喜ばせてほしいですね。

 162試合の長丁場。シーズンはこれから夏場に入ります。時差や移動も加わって体力的にも厳しい時期。開幕前にはWBCに出場し、無理をしている部分もあるでしょう。まずポイントとなるのが夏場。吉田選手はきっと「ブレない」姿で乗り越えてくれるのではないかと思います。

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