【スポニチ潜入(5)高田・中山勝暁投手】最速147キロ 医学部も目指す文武両道エース

[ 2023年5月30日 07:00 ]

医学部進学とプロ野球選手、2つの目標に挑む高田・中山勝暁(撮影・長嶋 久樹)
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 アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」で取り上げる企画「スポニチ潜入」第5回は、最速147キロを誇る高田(三重)の中山勝暁投手(17)。投手歴わずか2年で急成長を遂げるエースは、「最速」へのこだわりを隠さない。医学部進学も目指す文武両道右腕が、同校初の甲子園出場へ導く。

 ブルペンに入る時、中山はスマホを持ち込む。起動させたのは、球速が測れるアプリ。力感あふれるフォームから投げ込み、1球ごとに数字をチェックする。両腕でガッツポーズを決めたのは、20球ほど投げた時だった。「153キロ」――。必ずしも正確な数字でないとはいえ、スピードへのこだわりは十分に伝わってきた。

 「小さい時は速い球を投げることしか頭になかった。制球を考えるようになったのは高校から。最初の頃はストライクなら、打たれる気がしなかった」

 高校で軟式から硬式に転向すると同時に、ポジションも捕手から投手へ転向。入学時は133キロ。1年秋の公式戦で142キロをマークし、2年春には同じ球場で145キロを投げた。夏に146キロ、そして4月の春季大会でMAX147キロに到達。規格外のスピードで進化する右腕に、稲垣聡支監督も舌を巻く。

 「142、145が出ても、喜んだり、満足したりせず、すぐに“まだいけます”と次の目標を目指す。その姿勢は普通の選手にない部分ですね」

 向上心は理想のフォーム追求にも生かしている。プロ野球投手の動画視聴や、技術書購読は、中学時代からの日課。山本由伸(オリックス)の調整法を採り入れる一方で、決して「真似」だけで終わらない。「いろんな人のを見て、試して、いいところだけ」。自分の頭で考え、納得したことだけを受け入れるスタンス。ストレートとカーブだけで勝負する理由も中山らしい。

 「自分は不器用だし、自信のない球を投げて打たれると悔いが残るので、この2つでいこう、と」

 野球部では2人しかいない中高一貫6年制コースに所属。患者に感謝される祖父の姿を見て、医師を目指すために県下屈指の進学校に進んだ。その決意が今、揺れている。「お医者さんか、プロ野球選手か。夏の大会が終わるまでが大事な時なので、どっちも目指せるように頑張りたい」

 すでにプロ11球団があいさつに訪れる注目株。夢見る甲子園出場が、エースの未来を決めるかもしれない。 (堀田 和昭)

 ◇中山 勝暁(なかやま・かつあき) 2006年(平18)1月7日、三重県津市出身の17歳。南が丘小3年から「南が丘グリーンソルジャーズ」でソフトボールを始める。高田中では軟式野球部に所属しポジションは主に捕手。高田(三重)で投手に転向。昨夏は県大会初戦の木本戦で先発を任され、2―8で敗戦。同年秋から背番号1。公式戦の最速は147キロ。遠投100メートル(1年時)。1メートル78、81キロ。右投げ右打ち。

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