侍・大谷翔平 一刀流で本領発揮だ!飛距離ベスト10のうち9本が打者専念

[ 2023年3月18日 05:30 ]

マイアミ国際空港に到着した大谷ら侍ジャパンナイン(撮影・会津 智海)
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 侍ジャパンは17日早朝(日本時間同日夕方)、羽田空港発のチャーター機で、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝、決勝が行われる米マイアミに到着した。準々決勝まで投打二刀流でフル回転した大谷翔平投手(28)は、残り2試合は打者に専念する見込み。舞台となるローンデポ・パークは外野が広く、投手有利の球場として知られるが、「一刀流」で長打力の増す大谷が、3大会ぶりの世界一に導く。

 明け方のマイアミ国際空港。報道陣約50人に加え、エンゼルスの赤い大谷Tシャツを着て出迎える2人組のファンも待ち受けていた。着陸から約1時間後の午前3時50分。栗山監督を先頭に、侍たちが姿を見せた。

 大谷はチェコ代表の帽子を後ろ向きにかぶってヘッドホンを首にかけ、リラックスした表情でバスに乗り込んだ。準々決勝の試合後、「結果的に1点多く取ればそれでいいという気持ちで、全員で頑張りたい」と抱負。相手チームに加え、攻略すべきは決戦の舞台、マーリンズの本拠ローンデポ・パークだ。

 同球場は本塁打の出やすい東京ドームとは正反対。外野が広く、「ピッチャーズ・パーク」と呼ばれる打者に不利な球場だ。12年の開場から昨季まで11年間、マ軍の実況アナウンサーを務めたグレン・ゲフナー氏は本紙の取材に「20~22年の3年間で30球団中、本塁打数は28番目。16、20年にフェンスを手前にし、さらにフェンス自体も低くする改修を施したが、それでも少ない」と指摘した。

 ただし、前向きな材料がある。「一刀流」大谷の存在だ。当然、投打同時出場でも打棒は発揮しているが、打者に専念した時は、さらにパワーが増す。実際、過去の大リーグ5シーズンで、自身の飛距離ベスト10のうち9本が、打者専念の試合。東京ドームで推定飛距離140メートルの看板直撃弾を放ったのも、打者に専念した12日のオーストラリア戦だった。ゲフナー氏も「大谷のようなパワーヒッターなら、どの球場でも本塁打を打てるだろう」と期待を口にした。

 江戸時代初期の剣豪・宮本武蔵の代名詞である二刀流。一方で、戦国時代末期に生まれた剣術の流儀「一刀流」から派生した「北辰一刀流」を極めたのが、幕末の英雄・坂本龍馬だ。3大会、14年ぶりの世界一という“日本の夜明け”に向かって、大谷の「刀」が鋭さを増す。

 マイアミ空港に到着後、選手らは2台のバスに分乗し、地元警察のバイク6台に先導されて宿舎へと向かった。「久々に短期決戦で独特の緊張感とか自分の中で特別なものがあった。あと2試合、引き続き気を引き締めて頑張りたい」と大谷。重圧も乗り越え、特大アーチで歴史を刻む。(笹田幸嗣、杉浦大介両通信員)

 ≪生きる守備力と走力≫【決戦の舞台「ローンデポ・パーク」】今大会にドミニカ共和国代表として出場したマチャド(パドレス)は、13日のニカラグア戦で大飛球を4度放ちながら本塁打は1本に終わり「大きい球場。残念だったよ」と苦笑した。ローンデポ・パークは開閉式屋根が閉じている時に特に飛ばないとされるが、ベネズエラ代表のロペス(ツインズ)は「開いた場合にはもう少し飛ぶけど、大きな違いはない」と証言した。この球場の「生き字引」ゲフナー氏は、攻略法について「スピードを生かす。左中間や右中間は広いから三塁打が多い」と言及。外野の守備力も生かせるとし、「ヌートバーのプレーが楽しみ。本塁打キャッチが出るかもしれない。最長4メートルあった外野フェンスを16年に低い所で1.8メートルにした。私のメモでは以降7年で10度、本塁打キャッチがあった」と心待ちにした。

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2023年3月18日のニュース