【阪神・大山-亀山氏対談(上)】「一塁」へこだわり“守役”に名乗り GG賞は“ついてくるもの”

[ 2023年2月18日 07:00 ]

亀山氏(右)と対談を行い、青空を指さす大山(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 阪神・大山悠輔内野手(28)が亀山つとむ氏(53=本紙評論家)と対談を行い、岡田阪神の“守役”に名乗りを上げた。打順や守備位置が流動的だった昨季とは異なり、今季は「4番・一塁」で固定される。勝利に導く一打の増産はもちろん、仲間の悪送球をカバーする捕球技術の向上や、一塁ベースに極力早く入る気遣いの徹底を宣言。大山ならではの守備へのこだわりが随所ににじみ出た。(取材・構成 八木 勇磨)

 亀山氏 キャンプも第4クールを終えました。ここまで内容を振り返ってどうですか。

 大山 しっかり考えながらできています。もう7年目なので、要領であったり、そういうのはしっかり頭に入っているので、いいキャンプを過ごせていると思います。

 亀山氏 今年に関しては、岡田監督が「4番・一塁」で固定する方針を示している。大山選手自身も、すごく落ち着いてキャンプを送れているかな、という印象があります。

 大山 報道陣からの注目度もそこまで高くないので、そこはやりやすいのかもしれないですけど(笑い)、後輩たちが頑張ってくれているので、僕はしっかり自分のペースで、考えながら練習できています。(固定の方針は)もちろんプラスだと思います。集中して、より濃い練習ができると思います。でも昨シーズン、左翼や右翼を守ったり、いろんな打順を打ったりしましたけど、その部分は自分にとってプラスになっていると思います。外野も、実際守ってみると思っていたものと全然違いました。そういう経験をしたからこそ、一塁を守る時も“ここはこうしてほしいのかな”とか、相手の考えが少しわかるようになりました。

 亀山氏 三塁手出身の一塁手ということで、バックハンドで捕球するプレーが多いな、と感じます。これは「守り」を大切にする岡田野球において、併殺を取る上で大きな武器となる。今年は打つ方だけではなく、守りにもこだわってほしい。新井(貴浩=現広島監督、08~14年)もそうだし、アンディー・シーツ(05~07年)やジョージ・アリアス(02~04年)、われわれの時代だとトーマス・オマリー(91~94年)など、三塁から一塁にコンバートされた選手は、バックハンドで打球処理ができて、守備がうまい。ぜひ守備のタイトルも狙ってほしい。

 大山 少し言い方は難しいですけど、ゴールデングラブ(GG)賞って“数字”ではない。記者の皆さんの投票で選ばれるので(選手の)イメージに左右されることもあって、具体的な判断基準はない。なので、そこを目標にするよりも、GG賞は“ついてくるもの”と思った方がいい。もちろん、併殺もそうですけど、昨年、一塁もやって一番感じたのが「捕球」。特にショートバウンドの捕球を僕が頑張ることによって、チームの失策がすごく減る。僕も三塁をやっていて、一塁手がショートバウンドをカバーしてくれるとすごく助かった。“捕ってくれる”っていう安心感があれば、内野手はもっと思い切ってプレーできる。僕は「ショートバウンドの捕球」にこだわりたいです。

 亀山氏 そういう姿勢で大山選手が一塁をやってくれると、チーム全体が盛り上がってくる。今年、守備にこだわっていたら、打つ方の数字も勝手に伸びてくる感じがする。

 大山 勝利にこだわってやっていれば、数字もイメージもついてくる。もちろん個人のことも大事ですけど、チームを第一に考えて必死にやっていければと思います。僕が一番意識しているのは、とにかく早めに一塁ベースにつくこと。三塁をやっていて思ったのは、目標物がないのは、実はすごく投げづらいんです。外国人選手って、結構ゆっくり(一塁ベースに)入ってギリギリで捕る、というのが多かったんですけど、経験からして、打球が行った瞬間に一塁ベースへダッシュして、なるべく自分が目標物として待っていてあげたい。そこはすごく意識してやっているので、そういう部分で役立つダッシュ力だったり、キレを出していかないといけない。そういう意味でも、打ってから一塁までのダッシュ、もちろん相手がミスした場合に次の塁を狙う、という準備にもつながるんですけど、1年間戦っていく中でトレーニングの意味も込めて、今ダッシュをやっています。

 ※対談(下)に続く。

 ○…阪神一塁手のゴールデングラブ賞は過去5人で7度受賞している。内訳は81年藤田平(当時はダイヤモンドグラブ賞)、92年パチョレック、03年アリアス、05~07年シーツ、08年新井貴浩。他のポジションと比べて最も受賞から遠ざかっており、今季受賞なら08年以来15年ぶり、生え抜き受賞なら81年以来42年ぶりになる。

続きを表示

2023年2月18日のニュース