侍・ダルビッシュ 志願の完全別メニューで独自調整「その日その日に集中」

[ 2023年2月18日 05:00 ]

侍ジャパン強化合宿 ( 2023年2月17日    サンマリン宮崎 )

河津桜を背にキャッチボールするダルビッシュ(撮影・尾崎 有希)
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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンの強化合宿が17日、宮崎市のサンマリン球場でスタートした。大リーガーではただ一人の合宿参加となったダルビッシュ有投手(36)は全体アップ以降、完全別メニューで独自調整を貫いた。他の投手陣がそろって練習をする中、自身の時間軸で単独行動。世界一に必要な自ら考える練習を率先垂範した。

 ブルペンでの円陣が解けるとダルビッシュは一人、メイン球場のトレーニングルームに向かった。他の投手陣が歩を進めたサブグラウンドとは反対方向に離れていく。

 「その日その日で体調が違う。しっかりアプローチしていくのが自分の調整方法。自分の練習にしっかり集中できた」。14日に帰国したばかりで時差ボケも残る。18日に予定しているブルペン投球も逆算。ストレッチを「体の状態的にも長めにやらないといけないと思った」という判断だった。

 投手陣がそろうキャッチボールの中に姿がない。現れたのは全員が投げ終わった約15分後だった。持参した器具を用いたストレッチに長い時間をかけており、1時間近く筋肉をほぐした。右腕はキョロキョロ練習場を見ると「キャッチボール相手がいなかった」と横のブルペンへ。日本ハム時代の女房役でチームスタッフの鶴岡慎也氏を呼び、戻ってきた。

 投手にも野手にも進んで対話を図る一方、自らの調整に妥協や譲歩は一切ない。吉井投手コーチからは、どの投手も各自の調整を優先するよう指示が出ていた。だがNPBの選手たちは固まって練習。大リーグでプレーした同コーチも「日本の人たちはああいうのが好きなので」と笑った。ダルビッシュは志願して、完全別メニューの独自調整となった。

 半袖姿で少しずつ距離を取り、遠投。ネット越しに約1000人が殺到した。投本間ほどの距離に戻すと変化球も交えて腕を振る。横でダッシュメニューに入った他の投手陣がチラ見する。約10分間キャッチボールし、再びメイン球場でトレーニングして締めた。

 前回大リーガーが合宿から参加した09年大会では、合宿初日のランニングからイチローが若手だったダルビッシュらと並んで先頭で声を出した。14年前とは対照的なアプローチに映るが、伝えたい思いは共通している。15年に右肘を手術。チーム最年長の36歳は年齢を重ね「長くできる保証はない。今日が野球をできる最後の日になるかもしれない」と考えるようになったという。「先の結果を考えるよりも、その日その日に集中して準備していくことが大事。どこの国でも間違えている選手がいる」。米国で学んだ「個」が生むチームの勝利。言葉よりも説得力抜群の調整を、合宿初日から行った。(神田 佑)

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2023年2月18日のニュース