阪神・佐藤輝 志願の熱血特守!ボール直撃で右手人差し指から出血も「全然、大したことない」

[ 2022年11月21日 05:15 ]

<阪神秋季キャンプ>特守中に負傷した指にテーピングを巻き、懸命に打球に飛びつく佐藤輝(左は平田ヘッドコーチ)(撮影・椎名 航)
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 阪神の高知・安芸キャンプ最終クール2日目の20日、佐藤輝明内野手(23)が志願して特守に参加した。前日19日に背中の張りを訴えて特守を途中離脱したふがいなさから、同日夜に平田ヘッドコーチへこの日の参加を直訴。今キャンプ途中に岡田彰布監督(64)からリーダー役の一人として指名されていた若き和製大砲が、主力としての自覚をにじませた。

 2日連続の特守参加には、理由があった。前日19日は午後の個別練習で三塁での特守に参加も、背中の張りを訴えて途中離脱…。その悔しさ、ふがいなさが心と体を動かした。雪辱を期して臨んだ志願特守をやりきった。

 「昨日、全部(のメニューを消化)できなかったんで。リベンジでやりました」

 短い言葉に思いを凝縮した。15日には岡田監督に今秋キャンプのリーダー役の一人に指名され、アップなどの先導役を任された。だが前日のリタイアは、その指揮官を「一緒にノック受けていても、みんな元気にあれだけ受けてんのに。ノックの時に(他の選手と同じ)数も受けられないということやんか」などと落胆させた。普段はマイペースを貫く和製大砲だが、このまま消化不良でキャンプを終えることは、プライドが許さなかった。

 その言動に主力としての自覚もにじむ。前夜の夕食前には、平田ヘッドコーチの元に足を運び、個別練習での特守参加を直訴した。そしてこの日、無念を晴らすべく、再び午後のメニューに臨んだ。

 ハプニングにも動じない。開始早々、いきなり右手人さし指にボールが直撃して出血したが、連日の離脱…とはならない。トレーナーの処置を受けると、「全然、大したことない」と即座にポジションへ。見守る平田ヘッドから「それそれ!」「オーケー!」「おいおい!」と1球ごとに受けるハッパも「(気分を)乗せてくれたんで、ありがたいです」と追い風に、必死にボールを追い、約50分間のノックを完走した。

 とはいえ、その50分は、この日のノルマ。それだけでは「雪辱」にならない。馬場内野守備走塁コーチからも「(前日の分を)まだやっていないやろ」と声がかかった。他の選手が次のメニューへ移行する中、独り15分間の“居残り練習”を敢行。疲労困憊(こんぱい)ながらも最後までやり遂げると、見守った観衆からの大きな拍手に包まれた。

 「最後まで見てくれて、ありがたいなと思いました」

 そう振り返った佐藤輝の姿勢に、指揮官もうなずく。「俺もこんなん初めてやから(笑い)。自分で特守入れてくださいて」と目を細め、「変わらんとあかんからのう。オフの間にどれくらいやっているかやろな」と、さらなる“変身”に期待を寄せた。 (阪井 日向)

 ▽岡田監督のリーダー“指名” 第4クール初日の15日、練習前に外野で円陣を組ませ、全選手、コーチ、スタッフの前で訓示。大山、中野、佐藤輝、伊藤将、西純の5人を名指しし「ウオーミングアップで先頭で走れ」と指令を出した。指揮官は「引っ張っていくというか、何かそういうのが見えんもんなあ」と感じており、自らの言葉で主力選手に自覚を促した。

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2022年11月21日のニュース