松坂大輔氏“現役復帰”の舞台裏 そっと置いてあったイチローさんからののユニホーム

[ 2022年9月27日 05:00 ]

21年、引退セレモニーでイチローとガッチリ握手する松坂大輔
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 【平成の怪物 松坂大輔の探球】昨年限りでユニホームを脱いだ元西武の松坂大輔氏(42=スポニチ本紙評論家)が「現役復帰」する。イチロー氏(48=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が率いる草野球チーム「KOBE CHIBEN」の一員として、11月3日に高校女子硬式野球選抜との試合に出場することが決定。強い絆で結ばれる2人だが、どのような経緯で出場に至ったのか。連載コラム「松坂大輔の探球~シーズン編~」で松坂氏が舞台裏を明かした。

 素直に、イチローさんと同じユニホームを着てプレーできることに興奮していますし、声を掛けていただいて本当に光栄です。背番号18の「KOBE CHIBEN」のユニホームは既に自分の手元にありますが、渡されたのはもう9カ月ほど前。特に言葉は添えられておらず、イチローさんらしいカッコいいやり方でした。「言わなくても、分かるよな」――。そんな思いが伝わってきました。

 昨年12月4日、メットライフドームで自分の引退セレモニーがありました。サプライズで登場してくださったのがイチローさん。花束を渡され、言葉をかけていただきましたが、その後にも「サプライズ」がありました。イチローさんは球場を後にし、自分がロッカーに戻ると…。そこにそっと置いてあったのがユニホーム。まさに無言のメッセージでした。

 すぐにユニホームを着て写真を撮り、イチローさんに送りました。返事は「しっかり肩をつくっておけよ」。実際に出場が決定したのは今年の8月頃。「4番・ショートで考えているよ」と。「大輔は(金属ではなく)木製バットね」とも言われました。自分はボールを投げられなくなって現役を辞めました。引退後はトレーニングらしいこともしていません。ハードルは高く、プレッシャーもありますが、イチローさんに言われたからには、と強く思っています。

 初めて対戦したのは99年。イチローさんはオリックスで、自分は高卒1年目のルーキーでした。舞台をメジャーに移してからも何度も顔を合わせ、06、09年WBCでは同じ侍ジャパンのユニホームを着て世界一になりました。その時は自分が投げてイチローさんが外野を守る形でしたが、今度はイチローさんが投げ、まさかの自分が後ろを守る。ピッチングを見るのも後ろを守るのも楽しみですが、なかなか想像がつきません(笑い)。

 今回は高校女子硬式野球選抜との試合ですが、これからもイチローさんは新しい形で、ある意味イチローさんにしかできない方法で野球界を支えていくのだと思います。自分が出場することで、そのピースの一つになれたら、と思っています。今は試合に向けて、時間を見つけてトレーニングに汗を流しています。ぜひ皆さん、東京ドームに足を運んでください。(スポニチ本紙評論家)

 ▽現役時代の松坂とイチロー 初対戦は松坂が入団1年目だった99年5月16日。第1打席から3打席連続三振を奪い、試合後に「今日で自信から確信に変わった」と名言を残した。同7月6日には、イチローが松坂から狙い打って通算100号本塁打。「(松坂から)打った方が皆さんに喜ばれると思いまして…」。NPBでの対戦成績は34打数8安打の打率・235。メジャーでは27打数7安打の打率・259、0本塁打3打点だった。

 ≪東京Dで開催≫イチロー氏が率いる草野球チーム「KOBE CHIBEN」と高校女子硬式野球選抜チームの試合は、11月3日に東京ドームで開催される。試合開始は午後1時30分。S指定席が3500円でチケットぴあ、ローソンチケットなど各種プレイガイドで販売中。指定席チケット購入者にはオリジナルクリアファイル(非売品)がプレゼントされる。

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