広澤克実氏 今永&エスコバーとの対戦 阪神・近本のゲーム勘を取り戻すためにはいい“劇薬”だった

[ 2022年8月24日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神0-4DeNA ( 2022年8月23日    京セラD )

広澤克実氏
Photo By スポニチ

【広澤克実 視点】 近本のゲーム勘は戻っていないように見えた。新型コロナ陽性で登録を外れた10日から復帰するまでの13日間は2軍戦にも出場していない。22日にシート打撃で4打席に立ったが、1軍戦での打席とはやはり全然違う。空振り三振や併殺打など4打数無安打の結果はもちろん、内容的にもボールがおよそ2、3個分は差し込まれていたのはやむを得ないし、予測できたことだ。

 人間は目で見て得た情報を、脳から筋肉に伝達するまでどれだけ速くても0秒1はかかると言われる。10日以上も試合を離れた近本は0秒1ではすまないだろう。0秒11になっただけで、球速140キロ以上のボールなら約40センチも動く。これが「ブランク」と呼ばれるもので、現役時代の経験則から通常は3、4試合以上に出場して、ようやく戻ってくるものだ。

 となると今3連戦は近本に期待できない…という話になってしまうが、初戦の相手が今永だったことを、あえて好材料だと捉えたい。150キロ以上の速球と切れのいいスライダーを投げる今永以上の左投手は、少なくともセ・リーグにはいないからだ。今永を8球、ちなみに8回の4打席目でエスコバーを2球見られたのは、調子を一気に戻す“劇薬”になるかもしれない。

 連勝が4で止まり、2位のDeNAにも、ましてや首位のヤクルトにも、ゲーム差がさらに開いた。順位争いの上では、かなり苦しい1敗になったのは確かだ。しかし現行のルールではCSがあり、その先には日本シリーズもある。どれだけ勢いよく143試合を戦い終えられるかも大事になってくる。

 例年、開幕直後は調子のよくない近本はブランクから抜けるのが人よりも時間がかかるタイプなのかもしれないと、少し心配もしていた。今日は打席でいいところがなかったが、本来の姿を取り戻すには十分すぎるくらいに27試合も残っている。 (本紙評論家)

続きを表示

この記事のフォト

2022年8月24日のニュース