仙台育英 東北勢13度目の挑戦で甲子園初制覇へ 須江航監督「東北は一つ。一緒に戦いたい」

[ 2022年8月22日 04:00 ]

第104回全国高校野球選手権第14日・決勝   仙台育英―下関国際 ( 2022年8月22日    甲子園 )

キャッチボールを終え、タッチを交わす仙台育英・古川(左)と斎藤蓉(撮影・後藤 大輝)
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 22日に決勝が行われ、ともに初優勝を目指す仙台育英(宮城)と下関国際(山口)が対戦する。21日は休養日で試合がなく、両校は甲子園球場や室内練習場で調整した。東北勢で春夏通算最多の54勝を挙げている仙台育英は、夏は7年ぶり3度目の決勝進出。春夏通じて初の東北勢による甲子園大会制覇を狙う。下関国際は春夏通じて初の決勝進出で、夏の山口県勢では1958年の柳井以来、64年ぶり2度目の頂点が懸かる。

 1868年に起こった「戊辰戦争」。仙台藩(現宮城)が名を連ねた旧幕府軍と、長州藩(現山口)が中核の新政府軍が戦い、新政府軍が勝った。154年がたち、高校野球の日本一を懸けて「再戦」。仙台育英・須江航監督は「東北は一つだと思ってやっている。東北の皆さんの思いと一緒に戦いたい」と表情を引き締めた。

 決戦前日の甲子園練習。早朝の降雨によりノックなどを予定していたグラウンドは使えず。指揮官はナインをバックネット前に集めて約10分間、準決勝の聖光学院戦での走塁ミスについて身ぶり手ぶりを交えて確認。「(グラウンドが使えなくても)選手のイメージが湧いた中で良い練習になった」と話した。

 「継投」と「対策」のスタイルは不変。エース左腕・古川翼(3年)と、決勝で先発濃厚な背番号10の左腕・斎藤蓉(3年)がブルペン入りした。ベンチ入りの全5投手が最速145キロを超える「5本の矢」が勝利への鍵だ。準決勝で18得点を挙げた打線の「対策」も万全。下関国際の主戦投手の左腕・古賀、右腕・仲井に見立てたベンチ外の選手相手に室内練習場で打ち込み、佐藤悠斗主将(3年)は「良い対策になった」とやいばを研いだ。

 春夏で積み上げた東北6県で最多の54勝。東北勢は夏9度、春3度の計12度、涙をのんできた決勝に臨み、深紅の優勝旗の「白河の関越え」に挑戦する。白河の関跡に鎮座する白河神社(福島県白河市)では22日の決勝戦のパブリックビューイングを神社敷地内で行う予定。宮司の西田重和さん(74)は「優勝できるように応援したい」と歴史的瞬間に胸を高鳴らせる。社殿は仙台藩の初代藩主・伊達政宗が改築奉納したとされ、宮城とのゆかりも深い。

 テーマに掲げてきた「日本一からの招待」。心、技、体を磨いて頂点へ招かれるように努力を重ね、「天下統一」を決める舞台にたどり着いた。東北の歴史、願い、夢を背負い、いざ出陣――。(柳内 遼平)

 《宮城県内各地でPV》地元でも東北勢悲願の優勝を期待する機運が高まっている。仙台育英の宮城野校舎では、生徒や教員らが集まり、決勝戦のパブリックビューイング(PV)を実施する。グラウンドのある宮城県多賀城市も、同市の文化センターでPVを行う予定だ。

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2022年8月22日のニュース