広島・森下「全球種で腕が振れた」 気迫の完封でチームトップ9勝目 マツダで首位ヤクルト倒した

[ 2022年8月10日 04:45 ]

セ・リーグ   広島2-0ヤクルト ( 2022年8月9日    マツダ )

<広・ヤ>完封勝利し捕手・会沢(左)と抱き合って笑顔を見せる森下(撮影・岡田 丈靖)
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 広島の森下暢仁投手(24)がチームの苦境に奮い立ち、底力を見せつけた。9日のヤクルト戦(マツダ)で9回を投げ切り、三塁を踏まさず5安打零封。チームトップの9勝目を通算3度目の完封で飾った。打線は3回、野間峻祥外野手(29)の右翼線三塁打から先制点。2万9000人超の大観衆は待望久しい快勝の美酒に酔った。

 9回2死。打席には3安打を許していた村上が立っていた。カウント2―2から「三振を取りにいった」勝負球は内角高めのカットボール。バットが空を切ると、森下は胸元で小さくガッツポーズをつくり、満面の笑みを浮かべた。堂々の9勝目。声がはずんだ。

 「4本目を打たれなくて良かったです。3本は全部逆方向。長打じゃない分、プラスに捉えていた。最後に一番いい曲がり方をしてくれて勝てました」

 全球種を制球よく操る中でもチェンジアップがさえた。象徴的だったのは7回無死一塁だ。サンタナに対し、カウント3―1からチェンジアップでストライクを取り、最後は150キロの高め直球で空振り三振。スタートを切った一走・村上は、会沢が二塁で刺した。鮮やかな併殺だった。

 「全球種で腕が振れたと思います。1点を守りたいという気持ち。アッという間に8回になっていたので、早打ちされていたのかなという感じです」

 昨年4月6日のヤクルト戦以来となる通算3度目の完封勝利。好テンポの球数104球に森下のスゴみが凝縮される。15勝と防御率2点台前半を目標に挙げた今季。厳しい現状に「うまくいかないことが続くとダメージになる」は本音だ。それでも投球回数135回2/3は両リーグトップ。心身に「だんだん疲れを感じる」中での圧巻投球は、右腕の底力と言うほかない。

 「後半になって先発陣が試合をつくれていない中、森下が頑張ってくれた。1週間が始まる中で中継ぎを休ませられたのは大きい」

 佐々岡監督はその力投を絶賛する。先発陣に不振や離脱が相次ぎ、後半戦に入ってチームは1勝7敗と失速。森下自身も前回2日のDeNA戦で4回5失点と乱れ、今回登板に向けて「このままズルズルいきたくない。チームが苦しい時こそ自分の力で勝てたら。できれば1人で投げ切りたい」と誓っていた。

 「好投したら次は続かないと思われているかもしれませんが、今後はしっかり続けられるように頑張ります」

 お立ち台でファンにそう宣言した24歳。巻き返しへ、最後まで気力を振り絞る。 (江尾 卓也)

 【データ】広島はマツダでのヤクルト戦に今季8試合目で初勝利(1勝6敗1分け)。同球場が開場した09年以降、カード初勝利まで8試合は、昨季ヤクルト戦の7試合目(1分けを含む)を更新して最も遅い。開幕6連敗したのは前出の21年ヤクルト戦と10年巨人戦の5連敗を上回り最長。

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2022年8月10日のニュース