【高校野球 名将の言葉(6)横浜・渡辺元智監督】最善のプレーのため「スコアボードを見よ」

[ 2022年8月10日 08:00 ]

1998年、夏の甲子園準々決勝 PL学園との延長17回の死闘を制し、250球で完投勝ちした横浜・松坂(左)をねぎらう渡辺監督
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 甲子園通算51勝は歴代5位タイ。教え子には永川英植、愛甲猛、松坂大輔、涌井秀章、筒香嘉智、近藤健介、柳裕也ら多数。横浜を率いた名将・渡辺元智監督は、部長やコーチを務めた小倉清一郎氏とのコンビで甲子園で数々のドラマを演じてきた。

 野球の技術だけではなく、人間教育にも力を入れてきた。部員たちには「三笠山に登る第一歩。富士山に登る第一歩・同じ一歩でも覚悟が違う。どこまで登るつもりか。目標がその日その日を支配する」と、目標の立て方を叩き込んだ。日本一になるためには、何をやらなければならないか。それぞれに考えさせた。

 1試合は2時間足らずで終わる。目まぐるしく流れが変わる高校野球において、渡辺監督が大事にしていた教えがある。

 「スコアボードを見よ」

 イニング、点差、打順、アウトカウント、ストライクカウントが全て分かる。その上の旗を見れば風向きも把握できる。右翼から左翼方向に吹く甲子園の浜風は、気候によっては逆に吹くこともある。最善のプレーをするために、スコアボードを見ることを求めた。

 当たり前のことかもしれない。だが、プレッシャーがかかる場面などでは、平常心でプレーすることは難しい。いつでも、基本に帰ること。監督だけではなく、選手たちもスコアボードを確認しながら、試合を進める。今夏甲子園でも、横浜ナインのそんな姿が見られそうだ。(川島 毅洋)

 ◇渡辺 元智(わたなべ・もとのり)1944年(昭19)11月3日、神奈川県生まれの77歳。横浜では中堅手。神奈川大に進学したが、右肩の故障で野球を断念。65年に横浜のコーチに就任し68年から監督を務める。73年選抜で初優勝するなど5度の全国制覇。98年には松坂大輔を擁し甲子園春夏連覇、明治神宮大会、国体の4冠を達成した。甲子園では歴代5位タイの通算51勝。

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